落語絵本を読み聞かせる。

仕事が休みの日は子どもに読み聞かせをやります。読み聞かせ、本格的に誰かに教わったことはないのですが、絵本の中の登場人物になりきったり、子どもが感情移入しやすいように工夫して読んでいます。そうすると子どもは結構真剣に聴いてくれます。絵本には登場人物がたくさん出てくるので、登場人物が変わるたびに読み方(声)を変えたりしています。結構、落語の噺家っぽいです。

だいたい図書館で絵本を借りてくるのですが、そこで落語の絵本を見つけました。内容は落語そのものです・・・。ただし、さすがにマクラはない。「子どもに落語はまだ早いかな」なんて思って借りてきて読んでみると、幼児はまだサゲで笑うことはできませんが、意外に江戸情緒のことや、間抜けな登場人物のことは分かってくれます。

本日も「ときそば」を読みましたが、昔の時間の数え方、そばの価格を江戸時代の貨幣で把握するといった江戸時代の生活事情もつかめます。こんなことは日本史では学びません。落語は庶民が主役の物語、そこに貧しいながらもどこか微笑ましい人間情緒があったり、笑い話があり、聞き手はどこか郷愁をおぼえるのが落語の醍醐味です。大人が聞いても笑えるものが、子どもにとっても笑えるか、これはストーリーの構成のことだけを言っているのではありません。

伝統芸能は聞き手、観客の共通感覚、今回で言えば日本人が落語に抱く郷愁のようなものがないと、やっぱりその良さは伝わりにくいのです。落語の絵本が、子どもたちの届けようとしているのは、言葉やストーリーテーリングだけではなく、日本人としての共通感覚や価値観ではないでしょうか。

さて、落語の絵本ですが、今回は川端誠さんの本を選びました。

個人的に川端さんの絵はキャラクターがはっきりしていて、親しみやすいので好きです(「まんが 日本むかしばなし」を思い出させるような画風です)。また、落語以外にもいろんなジャンルの絵本を出されています。また、出版社によって作風も変わっているので、新たな本を選んでも飽きさせない作家です。「うえきばちです
という名作(珍作)もおすすめの一冊です。
 

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