いざとなれば全員野球「おおきなかぶ」

有名な絵本ですが、意外と内容がおぼえられていません。

「おおきなかぶ」A・トルストイ再話/絵: 佐藤 忠良/訳: 内田 莉莎子(福音館書店)対象:3歳~ ジャンル:民話

仲の良い管理職(マネジャー)というのは、ちょっと不気味です。たいてい管理職同士というのは仲が悪いものです。それは自職場の利益を背負っていて、他部門との綱引きがしょっちょうなされているからです。

私の見てきた管理職も同じようなもので、

「あいつの部門に協力なんかしなくていい!」

などと敵対心むき出しにして、毎日火花をちらしていました。

ただ、会社の業績が厳しくなると、普段は仲の悪い管理職同士も、手を取り合い(実際に取り合ってはいませんが)、協力してV字回復を目指していました。目の前の危機や困難に直面すると個人的な感情や仲がいい、悪いなどは言ってられません。全員が一枚岩となって危機や困難を乗り越えなくてはいけません。おそらく、その向き合っているプロセスでは、目の前のことに集中しているので、個人的な対立などは気にしている暇はないのです。そして、V字回復を実現しても、やはり管理者同士は仲が悪いのです。

さて、おおきなかぶもつまりは

協力の物語です。

目的はおおきなかぶを抜くことです。おじいさんがおばあさんに協力を要請し、おばあさんが孫に、孫が犬に、犬が猫に、猫がねずみに協力を要請します。お父さんとおかあさんは出てきません。おそらく畑仕事ではなく、都市に働きに出ているのでしょう。お父さん、お母さんがいないことで登場人物は老若男女だけです。そのためかぶを引き抜くために必要なパワーがぐっと落ちます。限られたパワーを有効活用するには協力しあうしかないのです。また、犬猿の仲の犬、猫、ねずみが協力しあうのも面白い光景です。共通目的に取り組むためには犬猿の仲なんか言ってられないのです。そして、目的は達成するのですが、そこで物語が終わります。ロシア民話っぽい淡々とした終わり方です。

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湘南産のかぶです。おおきくはないですが、甘みはあります。

なんか、この物語、私の見てきた管理職を見ているようでした。目的を達成したあとも、感動して喜び合うわけでもなく、淡々としていました。そういえば、彼らも引退して、おじいさんのように農業を始めたとか風のうわさで聞いています。

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