リアル店舗に顧客が行く理由をリアル店舗は分かった方がいい。

子ども用の自転車を購入するためにサイクルショップに行きました。もちろん、ネットで検索して情報を収集しています。ヤフオクの出品を見て、どんな自転車が出回っているか、価格帯なども調べています。子ども用の自転車って小さいからって安いわけじゃないんですね。

そうなると、気軽にネットでポッチとする性質の買い物ではありません。また、自転車ですから何よりも安全性を重視しなくてはいけません。

やはり現物を見て買いたい。

これが消費者心理です。

早速1店目に行きました。スタッフは5,6人いるのですが、おのおの作業や接客をしていて忙しそうです。ぜんぜん話しかけてくれません。子ども用自転車コーナーをうろついているので、少なくとも子ども用自転車に関心があるのです…私は。仕方ないので、スタッフにことわって試乗させてもらいました。

「お店から出なければ大丈夫ですよ」

で、乗りました。放置です。「感想とか聞いてよ!」おすすめもしてくれないので、「次、これ乗っていいですか?」などと言ってあらゆる車種を試します。まったく話しかけてくれないのでこちらから質問してみました。

「あのー、ネットでみたんですけど、ストライダーみたいなやつで自転車にもなるタイプのもの見たいんですけど」

「さぁ?ここになければないですね」

「調べようよ!自社商品でしょ。」と突っ込みを入れたくなります。そうです、その自転車はそのサイクルショップが出したオリジナル商品です。さすがにその回答でこのお店を後にしました。さて、次はちょっと高級な品ぞろえのサイクルショップをのぞきます。ブリジストンの自転車があるので、試乗させてもらったのですが、なんとペダルがついていません。これだとまるでストライダーで、ペダルをこぐ感覚が分かりません。

ペダルくらいつけて、展示しておこうよ!

(クロスファイヤーはデザインもかっこいいし、丈夫そうです。その反面軽くはないです)

「もう少し本格的に乗らせてくれたら、ここで購入しようか」という思いで見ていましたが、お店の人まったくこちらの意図を察してくれません。さすがにこれまでいろいろ見てきて選び疲れてきました。クロスファイヤーはこれまで試乗したものと比べると少々割高感はありますが、やはり日本メーカーの自転車なので安心感があるので、このあたりで決めて早々と持って帰りたいという気持ちになってきました。そうすると、今度はいろいろ試乗した子どもが、「前のお店の自転車が乗りやすかった」と言い始めました。

そして、お店に逆戻りです。前のお店で乗りやすい自転車を再度試乗させてもらって、それにしようとしましたが、色が子どもの好きな色ではありません。

「あのー、赤ないですかね?」

「赤はないですね」

取り寄せくらい提案してよ・・・。もういいや、と思い、最後に私が気になる質問を投げかけました。

「これって補助輪すぐに取り外せます?」

「14㎝のスパナであれば」

違います!私は器具のことを聞いているのではなく、取り外しの簡易さを聞いているんです。

聞かれたことにそのまま答えるのではなく、もっと顧客のニーズを察したり、ニーズに気づかせたりする深堀の質問しようよ。

自転車補助輪

幼児用自転車は補助輪との卒業が重要課題です。そのため、こけても頑丈なもの、というよりはこけやすい自転車が選択の基準になります。

ということで、私は自宅に帰り、このお店にあった赤色の自転車をネットでポッチと押してしまうのでした。リアルの店舗で店員さんにしてほしいことって、

購買のための背中の後押しなんですよ。

後押しはネットでは決してできないんですよ。だって、双方向のやりとりや、痒いところに手が届くような提案できないでしょ、ネットでは。しかもリアル店舗では顧客は見る、聞く、触るなどの生々しい感覚情報を手に入れています。その感覚情報がまだ熱いうちに後押ししてくれれば、顧客は購入に至りますよ。たぶん。もちろん、すべての顧客がそうとは限りません。冷やかしやネットで買うと決めている顧客もいるはずです。それを見極めるのが接客の楽しさではないでしょうか。

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