おじいさん世代への警鐘「いいから いいから2」

最近のうちの子の口癖です。いいから、いいから。それに対して、「何が?」「いいわけないだろ!」という大人こそ、この絵本を読むべきです。

「いいから いいから2」作: 長谷川 義史 出版社: 絵本館
対象:4歳から 発行日: 2007年08月

あっ、私のことですね。だから、読んでみました。おじいさんと孫のお話です。おじいさんと孫、実は物語にするなら最強のコンビです。何か事件をしでかすからです。ちびまるこちゃんのともぞうとまるこちゃん、クレヨンしんちゃんの銀の介としんのすけ、結構いいコンビです。そして、じいちゃんが登場すると決まって何かが起こります。

今回もおじいちゃんと孫、二人の旅行の物語です。仲居さんが人数を間違えても、部屋に幽霊が出ても「いいから いいから」とおじいさん。

おそろしく、気にしません。頓着しません。寛容です。

そして、こともあろうに幽霊とビールを飲み、混浴の温泉に誘います。

なんと不良。

結局、幽霊がなついてしまい、おじいさんのうちまでついていく始末。このおじいさんのおおらかさみたいなものを現しながら、実は現代のじいさんに対する警鐘ではないかなと思ったりします。孫に対して妙に過保護になるでもなく、子どもの子育てに神経をとがらせることもなく、社会に対して反撃するでもなく、もう少しおじいさん世代はゆとりを持って生きましょうよ。そんなメッセージがこの話には込められているようです。

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私も比較的、子どもの遊びには干渉しないようにしているのですが、公園に行くと面白い光景をみたりします。

「そんなことしたら危ないでしょ、ダメ!」

「それは友達のボールでしょ!とっちゃだめ」

と自分の孫に対してならまだいいのですが、その抑止力は周りにも飛んできて、

「もう少し自分の子ども見てないとダメでしょ、何かあったらどうするんですか!」

などとほかの大人にお説教をし始めるおじいさんもいます。おじいさん世代の役割というのは、自分の子ども世代に対して間違っていたら諭すとか、「まぁまぁ」とか仲介役に入るのがこれまででしたが、何かそのへんのおじいさん事情が大きく変わりつつあります。寛容でなくても、怒っていてもいいんですが、せめて人に対して余裕を持っていてもらいたいものです。それがどんなものかは絵本を声に出して読めば分かります。

いいから、いいから

と読んでいると、何だか落ち着きます。この感覚こそ、余裕なのです。

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