ちびっこ鉄道ファンの運転心をくすぐる「しゅっぱつしんこう!」

子ども鉄道ファンは一度は読んでおくべき良書です。

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「しゅっぱつしんこう」作: 三田村信行 絵: 柿本 幸造 出版社: 小峰書店
対象:3歳 発行日: 1984年

鉄道ファン、本当にその分類は細部にわたります。車両研究、鉄道写真、録音・音響研究、そして運転・施設設備・歴史・業務研究というカテゴリーがあります(ウィキペディア「鉄道ファン」参照)。幼い子どもであれば車掌さんに魅了されることは一度や二度ではないと思います。鉄道イベントで車内アナウンスを子どもたちが体験できることがあるのですが、車掌さんのアナウンスを子どもが本物と違わないくらい立派に再現してくれます。それにしても鉄道ファンではない親にとってみれば、正直その楽しさがどこからくるのかよく分かりません。

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運転士になるのが夢だという子どももいます。今回の本はその子どもたちの夢をかなえてくれます。同じちびっこゆたか君もかなりの鉄道ファン。ふとんに電車のおもちゃを持ち込んで寝るほどです。さて、夢の世界でゆたか君、電車を運転することになります。運転士の引継ぎのシーンから始まるのですが、ブレーキハンドルを運転手さんから受け取ります。

引継ぎが実にリアルです。

そして、運転席もリアル。左手にコントローラー、右手にブレーキ。実に鉄道ファンをくすぐるようなページがあります。しかもこのページの絵は見開き2pです。

電車は走り出します。「しゅっぱつしんこう!」とゆたか君が言いいます。

ここはぜひこのフレーズを子どもに言わせて(読ませて)あげてください。子ども鉄道ファンが大好きなフレーズです。

ストーリー自体は、動物たちが乗り込んできて、海水浴場に行って、ゆたか君が夢から覚める話ですが、読み終わった後の子ども鉄道ファンは、実に充実した顔をしています。絵はやさしくて幼児向けなのですが、文章は少し長めです。でも、読み聞かせが終わったあとは自分で読もうとすることがあります。これぞ鉄道が持つ魔力です。

そして、運転士さんにあこがれる子どもたちが何をしたいのか、ようやくわかってきました。運転の技術がまだ分からない子どもにとって、あこがれの対象は多分

掛け声です。

しゅっぱつしんこう!もそうですし、この本に出てくる「前方、注意」「信号かくにん」もそうなんですが、読んでいて思ったのが妙に引き締まる思いがするんです。職業人としての「いまからやるぞ、えいっ」っていうのがこの掛け声にあたるのではないかでしょうか。これはゆたか君の立場になってみて読んでみればよく分かります。

子ども鉄道ファンがいるご家庭に1冊あってよい本です。

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