最高の読者は子ども「かいじゅうたちのいるところ」

名作とは大人が決めるのではなく、子どもが決めます。

作: モーリス・センダック
訳: じんぐう てるお
出版社: 冨山房
発行日: 1975年
対象年齢:4歳から5歳

名作と言われながらも、読んでみるとなんで名作なのかがよく分からない本でした。

子どもに読み聞かせてみると、なぜか面白いようです。

その理由が知りたい。でも、子どもには理由が説明できません。

仮説を立てるしかありません。

おそらく、子どもには主人公マックスのように変身をして、何か悪さをしたい願望がある。そして、いつものごとく親に叱られて閉じ込められる(おそらく、これも願望)。

そして変身をすると強くなって、誰かを制圧したい願望がある。あるいは、どこかに旅に出たい願望がある。

でも、結局寂しくなってお母さんのもとに帰ることができる。そしたらお母さんは怒るどころか優しかった。

というような願望をすべて叶えるのがこの本なのです。というぐらいしか大人の私が読んで、子どもがはまる理由が分かりません。

あと挙げるとするならば、かいじゅうと言いながらも、怖いどころか愛嬌のある絵でしょうか。

絵本の名作、ロングセラーには子どもを惹きつける魅力があります。それはおとなには分からない魅力です。逆に大人に受けて、子どもに意図して教えようとする絵本などは子どもに受け入れられないことがあります。作者のセンダック自身も言われていることですが、

最高の読者は子どもなのです。(本の最高の評価者は子ども)

そのことを教えてくれる絵本です。そして、センダックさんについての説明ですが、この箇所は子どもに支持をされる理由として明快です。

そして、それ以上に特徴的なのが、教育やしつけといった大人の視点からではなく、夢想的で自己中心的だが、自由な子供の視点で描かれたストーリーである。 「Hatena Keyword」より

ご自身も子どもの視点で描かれてるんですね。そりゃあ、子どもも夢中になるはずです。

ロングセラーだけあって、映画にもなっています。映画は3Gを使っているので絵本よりはるかにリアリティがあります。

読み聞かせの動画サイトもあります。これを見ればストーリーは分かってしまいます。

でも、絵本を読んで聞かせることによって、この絵本の良さが一層引き立つように思えます。子どもは気に入って読んでくれますが、相変わらずそのストーリー展開に?がついてまわります。不思議な本です。

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