喜劇の構造がてんこ盛り、我が家で最高傑作「どろぼうがっこう」

絵本をテーマにしたブログにシフトしているので、この本は取りあげなくてはなりません。

「どろぼうがっこう」加古里子(偕成社)
対象年齢:3歳~

親子でこれほどはまった絵本はありません。私たちはこの絵本を暗記するくらい読み込みました。うちの子どもは「はーい、へーい、ほーい、わかりやした」というセリフを日常でも使っています。一体何が子どもにこの絵本をひきつけるのか、分析してみました。

やはり、どうろぼうの学校という状況設定、そして登場人物が変なのです。しょっぱなから金と銀の目をした変なふくろうが登場し、そして校長先生はくまさかとらえもん先生、どろぼう学校のかわいい生徒たち、可愛いといってもおっさんです。しかも悪党顔です。

この本、実は喜劇の要素がつまっています。

生徒たちに宿題のどろぼうを課すと、案の定ロクでもない宿題をしてきます。1人目は、2人目は、3人目は、4人目は・・・最後にいくほどオチが面白くなります。そして、生徒たちは本当に間抜けです。宿題の失敗に懲りずに翌日は遠足です。もちろんどろぼう学校の遠足は隣町までどろぼうです。そしてよりによって入ったところは・・・。ここでは「間違い」の要素、「逆転」の要素など、喜劇の構造が使われています。そりゃ、間違いは笑えますし、今まで優勢だったものが劣勢になったり、強かったものが弱くなったりする逆転の手法は観客を魅了させます。

失敗は誰かを楽しませる、素敵なギフト

間抜けな人は、人を笑わせることができます。それがたとえどろぼうのような悪人でもどこか愛嬌があり、にくめなくなるのです。やはり、責められる失敗ではなく、誰かを笑顔にさせる楽しませる失敗はあってもいいのです。それがないと、私たちは失敗することで人を責め、失敗しないようなガチガチに縛られた世の中をつくりあげてしまいます。そんな世の中に笑いは起こるのでしょうか?加古里子先生は、この作品が予想外に子どもたちに受け入れられたということを言われています。この本自体が失敗をしながら、かつその必要性を伝えているように思えてなりません。「失敗してもただでは起きない」。この物語の続編はなんと40年後の2013年です。


にほんブログ村 本ブログ 絵本・児童書へ
にほんブログ村

  • このエントリーをはてなブックマークに追加