「仮説の検証とは?」が分かる絵本。

私の知り合いで研究者がいます。そこの家庭では4歳の娘さんが

「科学は仮説の検証を繰り返すものなの!」

と普通にしゃべっています・・・。驚きです。 私も今の会社に入って、先輩から「わたしたちの仕事は営業ではなく、お客様の課題解決者だ。つまり課題を明確にするためには仮説を持って提案しなくてはならない。その仮説が外れれば何度も仮説をつくり、お客様に投げかけてみる」ということを言われて続けてきました。

仮説とは何かを明らかにするに「おそらく、〇〇〇ではなかろうか?」と考えることです。世の中でまだ明かされていないことを明らかにする、そしてそれを誰がやっても同じ結果を導くものになるような道筋を発見する科学には必要な考え方です。 この「科学とは何ぞや?」を考えてもらう(考える体験をしてもらう)のに良い絵本を見つけました。またもや、かこさとし先生の本、「なんだか ぼくには わかったぞ (かこ・さとし かがくの本)」です。最近、私はかがく絵本にはまっていますが、この本はかがく絵本のなかでも前述の道筋を見事に説明しています。

この本では木、石、鉄、プラスチックの物質を水に入れたり、磁石につけたり、静電気を起こしたり、あるいは燃やしたりして物質の持つ性質を明らかにしていきます。そして、各物質の性質がわかったら、今度は男の子がプレゼントでもらったクマの人形が何でできているか先の実験と同じことをして検証しています。クマは水に浮く、クマは磁石にはつかないといったようにです。かこ・さとし先生の本には最後に本の意図や解説があります(かこ・さとし先生の本は作者あとがきも読みごたえがあります)。この本については次のようなことを書かれています。

この本においては、それは物質の性質を一つ一つ分析し、それをまた統合するという帰納法という推論がとられています。 知識の断片ではなく、ばらばらにした一つ一つのの要素を確め、それらをつみ上げた全体に迫ろうとする態度や考え方が科学の態度というべきでしょう。 「なんだか ぼくにはわかったぞ」P40(童心社)

最短距離で課題にたどりつくこと優先にして、日頃の仕事で行ってきた私には恥ずかしくなりました。まさに「木を見て森を見ず」になっていました。かこ先生の言われている態度、これは科学に限らず、物事を考える本質的な態度を示されています。忙しくなり、余裕がなくなるとどんどんこの態度が失われていき、目先のものに飛びつく傾向にあります。私が反省させられた本でした。

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