悩み相談こそ回答者の人生がにじみ出る。

新聞を購読を止めました。必要ならば、買いに行くことにしました。なぜって、ネットで間に合うからです。よくネットの情報だと、考える力が落ちるなんて言うんですが、新聞はナナメ読みするものだし、また読ませる記事が少なくなっています。ただ、土日の新聞は購読します。結構、連載が楽しみなものがあります。その一つに朝日新聞のBe(土曜日の特別紙)で「悩みのるつぼ」という悩み相談があります。

悩み相談というのは、他人の悩みが面白いということもありますが、実は回答も面白く、むしろ、回答者の人生観を楽しむものだと思っています。なぜか、私は悩み相談が大好きで、昔は故・中島らもさんの「中島らもの特選明るい悩み相談室〈その1〉ニッポンの家庭篇 (集英社文庫)」の大ファンでした。「まさに奇人!裸で料理する夫」「自作の歌に泣く感性豊かな3歳の娘」とか相談もくだらないけど、回答も実にくだらない。その間抜けな相談者と回答者のリズム、そして何よりも人を食ったような中島らもさんの回答が笑えました。ちなみにこれも朝日新聞の連載でした。

さて、話は戻って「悩みのるつぼ」、岡田斗司夫さん、上野千鶴子さんといった著名人が回答をしています。そのなかで私が楽しみにしているのが美輪明宏さんの担当です。私は美輪さんのことを「歌う哲学者」と勝手に読んでいます。回答では、そんなにご自分の経験談を言われないわりに、実にすんなり入ってきて、しみじみと腑に落ちる言葉で書かれています。回答がそれだけ「深い」のです。やはりその背景には美輪さんの人生観が出ているからです。

本日も職場で他人の悪口が絶えないという質問に対して、

“要求されるのは「努力と忍耐とあきらめ」以外の何ものでもない”

と冒頭から人生を達観したようなアドバイスで始まり、そしてその処方箋までを見事に提示されていました。そのなかでも、美輪さんの人間観というものを垣間見れます。そして最後のアドバイスが相手を批判する場合の“言葉の選び方”です。実に納得できます。

さて、面接などをはじめとして、何か人の本質を見なければいけない場合、私はその人に悩みを相談してみればいいと思っています。もちろん、即答ではなく、相手に考える時間をもってもらいます。悩みというのはあらゆる種類のものがあり、それにもんもんとして向き合うことで恋愛観、結婚観、仕事観、人間観、金銭観などあらゆる自分の価値観が築かれます。その集大成が人生観です。別にそれに正しい、間違いはありません。ただ、悩みへの向き合い方、対応・対処にその人がどういう人なのか、それが自ずとにじみ出ており、人の本質を見抜くにはもってこいです。まあ、もちろんそれを見る方の人生観が問われたりしますが・・・。

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