こんなところで秋野不矩さん「ちいさなたいこ」

浜松天竜に行った際に秋野不矩美術館に寄って、秋野不矩さんの作品を見てきました。秋野不矩さんは天竜二俣町出身の日本画家です。50代からインドの影響を受け、インドの材料を使った作品に挑戦されています。美術館ではその作品の変化が楽しめます。作品もさることながら建物が魅力的です。基本設計は藤本照信さんです。

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場所はこちらです。二俣に行くなら観光スポットとしておすすめです。

ちいさなたいこ (こどものとも)作: 松岡 享子 絵: 秋野 不矩 出版社: 福音館書店

対象:5歳から 発行日: 1974年

さて秋野不矩さん、絵本も数点描かれていて、美術館に展示してあった作品を見つけました。インドに傾倒される前の作品です。インドに傾倒される前の後の特徴としては、前が主人公が日本人で、後がインド人になります。実に分かりやすい。

農家のおじいさんとおばあさんの畑で見事なかぼちゃがとれました。夜になるとそのかぼちゃから“おはやし”が聞こえ、おじいさんとおばあさんがかぼちゃの穴からのぞいてみると、かぼちゃの中ではちいさな人たちがお祭りをしていた、というお話です。秋野さんの絵もきれいですが、言葉遣いも実にきれいです。

て(手)つきのしなやかなこと

あしはこび(足運び)のかろやかなこと

“しなやか”と聞かれて、どう説明したらいいのでしょうか?“かろやか”も同様です。詳しく説明はできませんが、ただなんとなく日本の美しい所作、振る舞いについてくる言葉です。

いっしんふらん(一心不乱)におとこがたいこをたたく

など結構難しいことばを使っていますが、“一生懸命”よりも、“力強く”よりも、やはり一心不乱の方が太鼓をたたく鼓動が伝わります。ぜひ、子どもにも知っておいてもらいたい言葉です。

最後にはおじいさん、おばあさんも小さくなってかぼちゃの中の住人になってしまいます。

日本人はやはりおはやしにひきつけられる

絵、文章だけでなくストーリーも日本を代表するような作品でした。言葉がきれいなので読み聞かせもリズムをつかんでしまえば、読んでいる自分が心地よい作品です。

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