シュールな人生読本「おばけリンゴ」

何が言いたいんだ、この本は・・・。

「おばけリンゴ」作・絵:ヤーノシュ訳:矢川 澄子(福音館書店)
対象:4歳から 発行日:1969年03月31日

シュールという言葉があります。

シュールは本来、フランス語のシュルレアリスム(surréalisme)の略語で「超現実主義」という意味です。これが転じて、略語のシュールも「超現実的な・不条理な・奇抜な・難解な様子」を表すようになったのです。多くの場合「シュールな○○」と言った具合に、形容動詞的に使用されます。ちなみにシュールの語には、その経緯から「高度で芸術的である」というニュアンスを含むことも多いようです。例えば、「シュールなギャグ」と言った場合、単に「現実離れした難解な設定のギャグ」という意味のみならず、「高い次元でネタとして成立している」というニュアンスを含む場合があります。

三省堂ワードワイズウェッブhttp://dictionary.sanseido-publ.co.jp/topic/10minnw/012sur.htmlより

この絵本はシュールという以外に言いようがないです。ストーリーの展開も奇抜で、かといって起伏に富んでいるわけでなく、ごく日常のようにおかしなことが淡々と過ぎていきます。

貧乏のワルターの家にはリンゴの木があります。そのリンゴの木は一度も実をつけたことがありません。そしてワルターは「一つでもいいので実がなりますように」とお祈りをします。すると、一度もリンゴがなったことのない木に一個のりんごができます。

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持ち主のワルターは大事に大事に愛情を持って育てます。しかし、リンゴはあまりにも大きくなりすぎてしまいます。それでもワルターはそのリンゴを担いで売りに行こうとします。もちろん、大きすぎて汽車には乗せることができません。仕方なくワルターはリンゴを背負って運びます。描写だけでもかなり重いリンゴであることが伝わってきます。しかも市場に持っていくと、折角丹精込めて育てたリンゴはまったく売れません。無常です。

挙句の果てに、「自分で食べたらどうだ」と言われて、ワルターのこたえも驚きです「リンゴがきらいだから」。不条理です。ますますよく分かりません。

そして、このリンゴは国を救うことになります。王様がワルターから、このリンゴを手に入れると、ワルターはホッとします。もうリンゴの番をしなくていいんだ・・・。なんというか、愛しているけど、身体は疲弊するとったことから解放されるってこんな心境なんでしょうか。そして今度は小さくてもいいので2つのリンゴがなるようにお祈りをします。

人間は高望みしてはいけないということでしょうか・・・

いや、人間の欲はついてまわるということでしょうか・・・

愛したものを憎むときが来るということでしょうか・・・

でも人間は懲りずに同じことを繰り返すということでしょうか・・・

とにかく、込められたメッセージが難解で、よく分かりません。よく分かりませんといっても絵本なのでストーリーは分かりやすいんですけど。もう少し人生経験を積んで読むとまた味わいが異なってくると思います。といっても私、もう不惑過ぎてるんですけど、、、それでも何度も読む価値のある本です。

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