世の中には「お約束」というものがあります。バナナの皮が落ちていれば、踏んですべって転ぶ。
このことを私たちは知っている訳です。つまり結果を予測できるわけです。推論と呼ばれます。
AならばBになるであろう。
似たようなものとして、
AならばBになる。
これは論理です。風が吹けば桶屋が儲かる。これはなぜ?これは論理展開で説明ができます。
風が吹けば砂が舞う。砂が舞えば人の目に砂が入る。すると目の見えない人が増える。目の見えない人が増えれば三味線をひく人が多くなり、三味線需要が増える。三味線は猫のひげを使うので、猫がいなくなる。猫がいなくなるとねずみが増える。そうなるとねずみをとるためのしかけとして、桶の需要が増える
ということらしいです。これ素晴らしく恣意的というか、思い込み的な展開ですが、このように「AならばB」としていくのが論理です。AならばBとしたときに飛躍があり、その飛躍を説明して埋めていくのが論理でもあります。
バナナの皮のように、転ぶというものは、みんなが知ってることです。むしろ、目の前にバナナの皮があれば、自分があえてすべってみる。他人が通れば転んでほしいという願望があるわけです。その願望をかなえるものが「お約束」です。だから、「お約束」が叶えばみんな喜びます。これは、期待通りになったという安心でもあるのです。
この本もバナナがあります。サルがとおって「どうなるとおもう?」
案の定、サルがバナナを食べ、バナナの皮をポイッと捨て、そこに通ったウサギ「どうなるとおもう?」
と推論を問うオンパレードです。
そして高畠さんの作品は、登場人物の表情がシュールです。サルもウサギも表情がいいです。ストーリーもシュールなんですが、どこか全体にコミカルさが漂って、ひきつけられる作風です。
子どもたちにお約束というものに触れさせる本です。子どもたちは大喜びに違いありません。読み聞かせ会などでもおすすめの本です。