ツバメが愛おしくなる絵本「ツバメのたび」

ツバメって、マレーシアから来てるの!

この絵本を読んで初めて知りました。ツバメが渡り鳥ということは知っていましたが、まさかマレーシアから来ているとは。その間5000キロの旅です。

おそらくフィリピン、台湾を経由して日本に飛来していると思われるのですが、その経路は解明がされていません。また、東シナ海の海上を休まず飛んでいるのかもわかっていません。

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「長旅ご苦労様」と言う間もなく日本に来ると、いきなり巣ができていたりします。われわれもいつできた巣かもわからないくらいの素早さ。ツバメのなき声を聞くと、「おや、春か」なんて悠長に季節を感じたりしています。

ツバメは農作物の害虫を食べますので、日本では古くから益鳥とされてきました。また、ツバメは人の家の軒下に巣をつくることが多く、巣ができた家は幸福が訪れると言われ、かなりありがたがられていた鳥です。

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そのツバメも減少傾向にあります。その理由は「ツバメのエサとなる虫のいる農耕地の減少、ツバメが巣をつくる日本家屋の減少」などを日本野鳥の会ではあげています。それに悲しいかな、ツバメが軒先に巣をつくると糞害で迷惑だと。

ちなみにツバメは野鳥なので飼育することはできません。また、その飼育は難しく、飼育しようにもできないと言われています。

さて、この本ですが、ツバメにいっそう親近感を持たせてくれます。わざわざヒナをつくりに日本まで来てることがわかると感動すら覚えるのです。

さすがにここまでのツバメの行動を見ていると、ツバメに巣をつくられると迷惑だ、なんて言えません。人間とともに生活する鳥、そしてその鳥が減少していることは、私たちの生活スタイルや価値観への警鐘なのではないでしょうか。

相変わらず、鈴木まもるさんの絵はスピード感、躍動感があります。電車だけではないんですね!と思ったら、鈴木まもるさん、鳥の巣研究家とのこと。どうりで詳しいわけです。

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