最近、コメカミが痛いです。目が疲れていることもあるのですが、ストレスです。自分で言うのも恥ずかしいのですが、ストレスがかかっています。
そんな時は、森に行きます。森に行ってリラックス効果を満喫します。と言いたいところですが、森に癒しはありません。
森は虫との闘いです。いろんなものに刺されます。蚊やら、アブやら、ハチまで。そして田舎の便所に行けば手のひらサイズのクモ、そしてゴキブリまでいて驚かされます。今回は、それに加えてヤマビル。初めて見ましたヤマビル。人間に忍びよってきって、人間が気づかないうちに血を吸います。後ろの百太郎みたいです。しかも、吸われる方は吸われたことにしばらく気づかない。恐ろしい虫です。
まさに攻撃するものと、守るものの攻防が繰り広げられているのが森です。
でも、虫たちの攻防戦の勝者も鳥に食われ、その鳥も動物に襲われ、動物も人間に捕獲されと、森では命の循環が起こっています。生あるものは必ず他者の役に立つ。だから、むやみやたらと無益な殺生はしない。これが森に生きるものの考え方です。森の社会ではあらゆる多様な生き物が共生して成り立っているのです。
さて、そんなことを森林塾かずさの森、岩田さんに教えてもらいました。
今回の体験ツアーはまずは魚とり。自分の食料は自分で獲ります。まさに自給自足の生活。魚も生き物、つかまれば食べられてしまうため、必死で逃げます。もうこれは人間対魚の獲るもの、追われるものの縮図です。そして獲れた魚の腸の出し方も教えてもらい、自分たちで処理します。
夜はナイトハイクです。ホタルの鑑賞に出かけます。ヤマビルが出るので、長靴に塩をしみこませたバンドを巻いて湿った山道を歩きます。ヤマビルは乾燥に弱い、寒さに弱い、そして塩に弱いのです。ヤマビル撃退法など、どこで使えるかわかりませんが、山で生き抜くための知恵です。湿原でゲンジボタルこそ、あまり見られませんでしたが、陸生のホタルとたくさん出会うことができました。陸生のホタルは肉食なんです。おそらく、生物の先生でもあまり知らないことではないでしょうか。知って披露する場がいつあるかはわかりません。そして、夜の森の中をライトを照らすと、空中に水蒸気のようなものをはじめ、いろんなものが舞っています。人間はそれを体内に取り入れることで、体のバランスを保っているとか。確かに、私も意識して、呼吸しました。菌とか胞子とかいろんなものがまじっていると思うのですが、普段都会で呼吸するよりははるかに調子がいいです。私のコメカミの片頭痛もずいぶん収まりました。これが森のリラクシング効果!というより、おそらく、森というものは自分を本来の姿に戻してくれる作用があるのです。それは太古の昔から人間は森の住民であったことを人間が覚えているのでしょう。まさに失われたものを取り戻すとはこのことです。
翌日は川遊びです。ただし、親は子どもの目を離さないこと。ちょっとした油断で子どもが水難事故に巻き込まれることがある。そして、自分の泳ぎを過信しないこと。何か生き抜く知恵と教訓をいただいています。森に携わって37年、森に限らず、生き抜くプロフェッショナルにさまざまな叡智を教えていただきました。それはもうここでは書ききれません。一番良いのはかずさの森で自然体験をしていただくことですが、体験ができない方には岩田さんの叡智が詰まった本が出ています。「杣人の独言」Amazonでは入手できないと思います。私も購入して帰るつもりが、心地よい疲労のため買い忘れました。また、行くしかないでしょう。