正解を教えない、ぐっとこらえるための本「きんぎょがにげた」

先回りはよくないです。子どもの成長を止めてしまいます。

「きんぎょが にげた」五味太郎(福音館書店)

対象:2歳から ジャンル:一致本

子どもに考える間を与えずに、大人が先にこたえてしまうことってあります。それが先回りです。

「それはね、●●なんだよ」

「こたえは●●でした」

せっかく、子どもが考えているのに、それを遮るように大人が先にこたえを言ってしまうと、子どもから考えることを奪ってしまいます。あるいは、子どもが出した答えに対して、すぐに評価をしてしまったり、

「正解!」「ブブー、間違い!」

別に評価はしてもいいのですが、なぜ子どもがその答えを導き出したのか、その過程をじっくりと聞いてあげてもいいのではないのでしょうか。今の世の中、効率が重視されます。ショートカットで答えにたどりつきたがる傾向にあります。残念ながら、ショートカットでたどりついた答えは、十分に思索が練られていません。やはり、浅いのです。思考とは必ずしも効率化できるものではなく、また思考の深さと時間の節約とは反比例するものなのです。

さて、すぐに答えを言いたがる、または子どもが答えるのを待てない大人におすすめなのが、今回の本です。この本は、きんぎょが逃げます。そして隠れます。読者は金魚を探します。

きんぎょが逃げた

出典「EhonNavi」

小さな子どもたちは、金魚を探すのですが、初めてチャレンジするとなかなか探し出すことができません。さて、それに対して大人がどう向き合うか。実は大人の忍耐力が問われている本です。何度も読んでいるのに、何度も間違える子どもに対してじっくりつきあえるかです。

「もう、何回もやってるでしょ!ここに金魚いるよね」

となった場合は、残念がら余裕がないということです。私も待たねば、待たねばと思っていながら、子どもが何度も同じ間違いをするとついつい答えを言ってしまいます。その度に「あー、自分は何をイライラしているんだろう。息子よ、申し訳ない」と思います。1歳や2歳でも読み聞かせることができる本ですが、実は試されているのはおとなです。おそろしい本です。

さて、子どもが簡単に金魚を探せるようになったら、この本から卒業です。先回りしてしまったせいでしょうか。今度は子どもに教えられます。

「モウ、ナンドイッタラワカルノ?ココデショ、ココ」

嗚呼、見事に自分の言ったことを真似されています。

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