おつかいは子どもにとっての仕事トレーニング「ぶたぶたくんのおかいもの」

はじめてのおつかいって最近見ないなぁ。

「ぶたぶたくんのおかいもの」土方 久功(福音館書店)
対象:3歳から 発行日:1985年2月

「はじめてのおつかい」っていうテレビ番組があります。最近はどうやら不定期の放送になっているようです。文字通り、はじめて子どもがひとりでおつかいにでかけます。買い物を頼まれて、それを必死になって聞いたり、そしていよいよおつかいに出かけお店の人に会うと頼まれたものを忘れたり、そして一生懸命思い出そうとするんだけど、違うものを買ってしまったりと、思わず「頑張れ」と応援したくなるほのぼのした番組です。これは実は、子育てや教育をテーマにした番組であることもうなずけます。

絵本にもはじめてのおつかい本はよくあります。今回の「ぶたぶたくんのおかいもの」も全く同じシチュエーションです。最初のお母さんの買い物の頼み方が実にうまい。

ぶたぶたくん何度もおかかさんと一緒に行ってしってるよね?

と自信をつけさせたり、

おかいものが済んだら、おかしやさんに行ってぶたぶたくんの好きなおかしを買っていい

など報酬も提示します。

そしてぶたぶたくんは買い物にでかけます。最初のパン屋は難なくクリア、次の八百屋でおばさんがいろんな野菜を挙げて、ぶたぶたくんを混乱させます。でもぶたぶたくんはなんとか思い出します。

買いものって、頼まれたものを思い出す記憶のトレーニングにもなります。

頼まれたものを自分のアタマの中で順番に整理したり、関連あるものを結び付けてまとめたり、そして道順に合わせて順番を変更することも必要です。なんかこうなってくると作業(仕事)段取りと同じようなもんです。また、現実では自分のアタマで描いた通りにならないのもよくあることで、それに対して変更を余儀なくされて新たな決断をせまられることもあります。それも買い物では起こりえます。たとえ困難に直面しても助けてくれる仲間がいます。今回は買い物で出会ったカラスのかあこちゃんとこぐまくんが仲間です。ぶたぶたくんの困難に助け舟を出して、無事ぶたぶたんくんを家まで導きます。

3びき一緒に帰るなかで、これまでの買い物のシーンを振り返ります。そして、最後にはこぐまくんがこれまで来た道順をマップで紹介して全体像を見せます。

振り返りに、部分から全体像を押さえる。

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おつかいってこんなイメージです。

うーーーん、まさに仕事の設計だけでなく仕事をやり終えたときに行うべきことすべてのことが絵本に描かれています。これにコストが加わればますます仕事と一緒です。はじめてのおかいものとはいったものの、学ぶべきことは段取りであり、仕事の設計であり、困難の乗り越え方であり、子ども版仕事の進め方といったものでしょうか。人気のレビューもうなずける本です。

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