法人営業の極意は相手のルールに合わせること。

法人営業をやってきて一番大事だと思うのが、顧客であるその法人のルールに合わせて提案をするということです。顧客のルールに逸脱したような提案をしてしまうと、まず受け入れられません。

相手に合わせること。

これが法人営業にとって非常に大事な能力になります。一種の環境適応力と言えます。先日、逆に法人営業をされてしまいました。その営業の方とは何回かあったことはあって、過去にも売り込みをされているのです。その度に平行線をたどります。それはなぜかというと、「企画書を出してほしい」というこちらの要望に対して、「企画書が1人歩きするのが怖いのでプレゼンをさせてほしい」と言われるのです。

私も営業をしていたので、相手の言わんとすることはよく分かります。せっかく提案したものが担当者に違ったニュアンスで受け取られて上申されたくないので、それならいっそのこと自分たちが顧客の意思決定者にプレゼンをしたいということです。ただ、いきなり、

意思決定者に会わせる担当者はいません。フィルターをかけれない担当者は資質を疑われます。

また、逆に「これは!」と自分が思えれば、営業にそんなことを言われなくても意思決定者に会ってもらえるようにする。それが担当者の役割です。組織の意思決定プロセスは何回か登竜門があります。社内回覧文書の判子の数と登竜門の数はだいたいイコールです。その都度、プレゼンをしてもらうことになればお互いにとって時間のムダです。かつて、ある会社で同じ内容のプレゼンを6回やったことがあります。担当者、係長、課長、部長、役員、トップに対してそれぞれ違う日程でプレゼンをしました。それなら一度に出てきてよ!と思いました。一番おもしろかったのが、プレゼンの評価がすべての人たちで違うということです。つまりは基準がないということです。

担当者として、良いと思えば、意思決定者に提案をするので、営業から企画書が欲しいのです。もちろん、この企画書は担当者の起案書の材料になるものなので、担当者の欲しい情報を提供しなくてはなりません。また、同時に企画書にするということは、文字にすることですから、話すよりも情報量が少なくなります。だから営業としては、少ない情報で相手に納得してもらうような企画書にしなくてはいけません。そこで提案を受ける方も「言いたいことは何なのか」という見極めができるのです。

企画書

今回の営業の方は企画書の1人歩きが怖いと言われていましたが、企画書の1人歩きはむしろ「大歓迎」とすべきです。組織の複雑な意思決定プロセスに営業が都度提案をしていたら時間のムダです。

そこは企画書が1人歩きして、営業の代弁者となって、紙ベースでも意思決定者を説得できなければいけません。

私は企画書の重要性は、その場で相手を説得するだけではなく、その後のこと、つまりは企画書がどう使われて、誰が見るかにもあると思っています。だから企画書はある意味営業担当にとっては勝負なのです。それを放棄するようでは、正直、法人営業を知らなさすぎます。下記の本、起業の本ですが、営業の本としても素晴らしい内容が書かれています。

顧客が欲しい情報を相手が欲しい情報を適度に的確なタイミングで、そして購買の意思決定をするために顧客の背中をそっと押す

ことがうまい営業であると書かれてています。そうですね、この本、紹介してあげればよかったです。

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