お客様に厳しい営業スタイルも厳しさの意味が分かれば購買に結びつく。

トレッキングシューズを探しています。登山用品店、アウトドアのお店があればシューズを見ています。

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トレッキングシューズの鉄則として、自分に合ったものを選ぶ

というものがあります。決して他人のおすすめでは買ってはいけません。その自分に合ったものは「フィット感」と言われています。そのフィット感が初心者の私には判断がしずらいので、お店で何度も履かせてもらいます。トレッキングシューズを買おうとすると必ず聞かれるのが「どこの山に登るか」です。登山の難易度や歩く時間などによって、トレッキングシューズが異なってくるのです。いろんなお店に行くと、接客のしかたがお店によってずいぶん異なることが分かります。

いつものように「サイズ合わせていいですか?サイズ26.5くらいなんですけど」と言ったところ、

店員さん「ちょっと待ってください。それは実寸ですか?実寸じゃないだったら、ちゃんと測らせてください」

と詰め寄ってきました。そして、用途を聞かれたので、低山ハイクから始めたいということを伝えます。

店員さん「山登りで使いますね。それなら真剣に選ばなくてはダメです。痛い思いをするのはお客さんです」

ビジネスソックスから登山用のソックスに履き替えることを厳しい口調で促されます。これまで試着するときは登山用の靴下をはいていたのですが、私も少し横着になっていました。

店員さん「なんで、登山用の靴下がこんなに厚いか分かりますか?」

私「寒さ対策じゃないですか」

店員さん「それもありますが、足を守るためです」

初めて知りました。前から「ここまで厚い靴下がいるのか(しかも高いし)」と疑問をもっていたので、それも解消されました。そして、店員さんが持ってきた靴は私の実寸より1.5センチ長いサイズをもってきました。「かなり大きすぎないか?」と思いましたが、言われた通りに履きました。靴を履くと今度は平たんなところ、坂を歩くようにうながされます。

店員さん「坂道ではつま先がついてはだめです。登山はのぼりよりも下りで痛い思いをします。それがつま先です」

私が?を頭にいっぱいつけた状態でいると、たとえばこういうことです。指先と木材をもって、何度もそれらを当てることを始めます。

店員さん「この痛さがずーっとついてまわります。だから私は大きめのサイズを持ってきてるんです」

なるほど、これで店員さんの意図がすべて分かりました。坂を下るとつま先はあたりませんが、右のくるぶしに当たる違和感があることを正直に伝えます。

店員さん「それなら縁がなかったものと思ってやめましょう。登山をするというのはそれがずっとついてまわります」

実にさっぱりしています。そして違うものを出してくれます。こうしてみると、トレッキングシューズ選びに随分時間かかることがよく分かります。そんなことを尋ねると、

店員さん「朝のお客さんで1.5時間履いていかれて、決まらないお客さんがいました。それでもお客さんに合わないのだからしかたないです。合う合わないはお客さんに決めてほしいです」

購買に結びつかないのに、時間をかけてお客様に付き合っているのです。ただし、ここまで寄り添ってくれれば、たとえそのお店でトレッキングシューズが合わなくても、違う商品を買ってしまいまいます。私も結局、そのお店では合ったものが見つかりませんでした。この店員さんが厳しい口調になっているのは、過去お客様から「合わなかった」「痛い思い」をしたと言われたことがあると話していたので、自分の過去の失敗体験からも来ているかもしれません。

しかし、お客さんのためを思って厳しいことを言う、その理由がわかればお客様の不機嫌にはなりません。

「これほど自分のことを思ってくれるんだ」とむしろ信頼にもつながります。トレッキングシューズの選び方から、営業の仕方まで学ばせていただきました。

私に合ったのはキャラバンのトレッキングシューズでした。ただ、これも歩いてみないことには分かりません。

決してトレッキングシューズだけは「ポチ」をしてはいけない商品です。

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