農業から人生を学ぶ「トマトとともに」

先日、農家さんの収穫のお手伝いに行ってきました。無農薬にこだわって、栽培されていて、採れた野菜をその場でボリボリとかじって食べさせてくれました。

ふくみみ

(写真はトマトではなくふくみみです)

野菜は鮮度が一番なんて言いますが、

うまい!です。

そして印象的だったのがトマトを食べれない子どもがいて、収穫したトマトをおいしそうに食べていてお母さんがびっくりしていました。

「だって、トマトじゃないみたいに甘いんだもん。」

私も食べましたが、確かに糖度が高い、「トマトじゃないみたい」ってすごく的を射た表現です。果物というか、果汁のような甘みです。

農家さんにトマトのこともいろいろ教えてもらいました。トマトは水に弱い。雨に当たると実が割れてしまう、など。そういえば、実の割れたトマトって畑じゃないと見ることができないですよね。スーパーで見かけることはまずないです。そして、緑のトマトを見て子どもたちはびっくりしていました。トマトは緑だったんだって。

こういう子どもたちの反応を見ると、子どもたちを畑に触れさせる体験は必要だな、と思います。

見てくれの良い野菜ばかりが野菜ではなく、同じ品種でもいろんな形のいろんな大きさの野菜ができるんです。そんな当たり前のことが子どもたちには伝わっていません。

さて、うちは農家ではないですし、家庭菜園をやる庭もないので本で学ぼうと手にとったのがこの本。

「農家になろう(4) トマトとともに」 写真: 依田 恭司郎 編: 農文協 出版社: 農山漁村文化協会(農文協)

対象:小学校高学年 発行日: 2012年10月

御年86歳のトマト農家さんのお仕事を追った本です。絵はないので、写真本です。

野菜農家の日々を追うだけでなく、トマトづくりから得た教訓やノウハウを紹介しているのですが、

実に深い!人生に通じます。これってキャリア本ですか?

農業には科学的なカンが必要。(中略)自然相手だから教科書通りじゃだめ。といって根拠のない山カンもだめ。ふだんからトマトを観察していればこそ働くカンがある。それが百姓の科学的なカンなんだ。

この農家さん実際に天候、気候、生育状況など40年近く記録されています。今でいうビッグデータです。もちろん解析はご自身の身体の中でされるということでしょう。

植物には、自分で生きようとする力がある。それをうまく引き出してやると、しっかりしたいい樹に育つ。だから定植後は水をやらない。土の表面は乾いても、土の中には水があるから自分の根を伸ばして水を利用できるようにすることが大事なんだ。

ジャブジャブ水をたくさんあげるんじゃないんですね。初めて知りました。植物を甘やかさない、自分で生きる力を育てる。これってトマトの話ですが、人間にも通じる話ですよね。

収穫の最後になると、むかしは赤くなるちょっと前の実をわらの上に並べて、追熟して出荷してたんだ。だけど、そうするとトマトのガクはもう枯れてるんだよ。つまり死んだトマトを売ってるようなもの。

そこでの農家さんが考えたのが、そのまま樹をうねの上に寝かせて、地面の余熱でトマトを保温して赤くする方法です。消費者に鮮度の高いものを食べてもらいたいという想いから生まれたこだわりです。まったく頭が下がります。

こうして農業を見ていくと科学的、育成、改善など、必要な要素は仕事=ビジネスそのものです。農家さんの仕事だけでなく、仕事の厳しさ、仕事の知恵なども学べる本です。もはや、大人が読んで勉強すべき本の域です。

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