半農半Xももはや企業が進出する時代。

鹿児島銀が農業参入 30日に新会社、後継者不足解消に一役

(2016/9/26 2:00日本経済新聞 電子版)

銀行が農業生産法人をつくるそうです。10月から玉ねぎの生産を始め、行員も約30人が出向するようです。先日の三井住友銀行の稲作といい、銀行までが農業に進出するようになりました。

半農半銀行でしょうか。まぁ、事業の半分もリソースを投入しているわけではありません。銀行も地銀が淘汰される時代が来ています。そこでなんとか、活路を見出そうとしているようです。農業の担い手が少ない地域の貢献にもなりますしね。

ただ、企業主体の農業生産法人は成功事例があまりありません。それはなぜか、企業が扱うものと、農業が扱うものとの性質が違うのです。

農業はあくまでも自然を相手にしています。雨が降ったり、気温が高かったり、予見不可能な要因がたくさんあります。残念ながら収穫ができない年もあります。土に改良を加え、肥料を加えてそれなりに収穫をしたとしても、その年は良いにしても、翌年は土が枯れて、野菜は育たないこともあるのです。

当たり前のことですが、自然は人間がコントロールできないのです。

半農

それをコントロールして一定の生産量を求めようとすると、やはり無理があります。できるだけの工夫はするが、完ぺきを求めない。これが農業に携わる基本スタンスです。残念ながら儲けようとして取り組むと痛い目に合うビジネスではないでしょうか。農業は既存事業のマイナス幅を埋めるビジネスではなく、あくまでも人間らしい営みを気づかせるために気づかせるビジネスなのです。

半農半X。これは副業をして収入を2倍にしようという考えではありません。どちらかというと晴耕雨読です。また畑を耕すことが本来の人間の営みとしています。

悲しいかな、現代の企業ビジネスはこんな悠長なことを言ってられません。そこそこやほどほどでは目標としている利益に足りなくなってしまうのです。だから無理をする。

半農半X。半Xは自分の生業です。そして自分の意欲をもって取り組める仕事です。3次産業から1次産業への流入は歓迎すべき風潮です。人間の本質に気づいた動きではないでしょうか。農業への参入、本業を戒めるきっかけになればいいのですが、あるいは自然とのかかわり方を見直すきっかけになればよいと思います。

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