小さい子どもが乗り物好きだと、結構楽です。ひたすら乗り物に乗ればいいんです。
最初は電車、新幹線、バスなど、乗り物はたくさんあります。休日なんか、当てもない旅に出かければいいのです。
子どもは目的地に行くことではなく、いろんな乗り物に乗れることを楽しんでくれます。その間、大人は本を読んだりと、自分の時間を持つこともできます。
この本は、お父さんがまじめに子どもに向き合って色んな乗り物に乗ります。
乗り物絵本と違うのが、ページごとの風景がきれい。一枚の鮮やかな油絵のような絵です。魅せる乗り物絵本って珍しいです。
そして、細部まで凝っています。冒頭バス停のシーンでは、お母さんが2階からお父さんと子どもを見送っていたり、駅に着くと犬や猫が景色の中になじんでいたり。
登場人物には表情がないのですが、でも温かみがあります。天候もよく、晴れ晴れ感も伝わってきて気持ちいいです。
バス、電車と乗り継いで、最後はロープウェイに乗ります。そして、ロープウェイの窓から今までの来た道が見えるわけです。
俯瞰系の本です。それとも思えば遠くへ来たもんだ、振り返り系の本です。
でも、自分が来た道を一望にするって気持ちいいんですよね。その爽快感が伝わってきます。
最後のお父さんが子どもを肩車するシーン、裏表紙を見るとお父さんと子どもの後ろ姿、どこか親子の温かさも伝わってきます。
文字は少ないのですが、感覚として受け取るものが多い本です。子どもをどこか連れていきたいけど、なかなか連れていけないお父さんにもおすすめです。