王さまシリーズは、サラリーマンへの警告だった。

王さまシリーズ、児童文学のロングセラーです。小学生のころ図書館で借りて熟読したもんです。なんではまったか、物語全体が明るいから、そして王さまに愛嬌があったからでしょう。

「ぞうのたまごのたまごやき」もストーリーをよく覚えています。そんなに内容自体は小難しくないので、幼児に読み聞かせするのにちょうどよいと思って手に取りました。

王さまに子どもが生まれた、そのお祝いをするのに国民に王さまの大好きな卵をふるまいたい。でも、卵の供給が追い付かないので、でっかいぞうの卵ならいけるだろう、って。なんて単純な発想。

そして、その命令に右往左往する大臣たち。一人はぞうのたまごを探しに兵隊を連れて旅立ちます。もう一人は、大きい卵が焼けるように特注のフライパンをつくります。もうひとりは巨大フライパンを火にかける巨大な窯をつくります。フライパンと窯はもちろん多大なる労力と費用をかけてつくります。

ぞうの卵が見つからないのでいらだって、大臣は兵士を怒鳴りちらしたりします。そして、最後には「ぞうって卵産まないじゃん」って子どもに教えてもらいます。

間抜けですね、笑えますね、、、でも、いい大人になると笑えません。

なぜなら、会社でも同じようなことが起こっているからです。社長のいうことに右往左往させらて、命令を疑うこともせずに、必死で自分の仕事をまっとうするサラリーマンの悲哀です。そして、仕事が終わって報告に行ったころには、命令をくだした本人から「そんなこと言ったけ?」「普通無理でしょ」なんて、ひどいことを平気で言われます。でもね、命令したのあんたんでしょ!みたいな、理不尽なことが日常茶飯事です。

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ぞうは哺乳類であり、そもそも卵を産まないことも考えられなくなるくらい、王さまの命令は絶対であり、部下たちに思考停止を促す強制力があります。

全然、笑えません。子どものころ、間抜けと笑っていた絵本を、自分がそれを演じてしまっているから不思議です。もしかして、作者の寺村輝夫さんはそこまで見越してこの作品を書いたのでしょうか。そういえば、寺村さんもサラリーマンだった時期がありました。その頃の経験が描かれた本だと思います。

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