これはキャリア本だ「りきしのほし」

社会には序列というものがあります。先輩と後輩、師匠と弟子、上司と部下。序列の上の人から優先権が与えられます。まさに縦社会。そして世の中は競争社会。勝たなければ生き残っていけません。

そのために一生懸命にその領域で練習を重ねて、試練を積んで、より上へ上へと目指すわけです。それに耐えきれなくなって、時には辞めたくなります。それでもくじけずに続けているといつかは日の目を見ることもあります。

これってサラリーマンであろうと、自営業者であろうと、スポーツ選手であろうと、アーティストであろうと一緒のことです。そして力士も同じです。特に力士はその傾向が顕著です。

別に力士を特別な職業と描くわけでなく、つらいことも厳しいこともある職業と描いているこの絵本はある種キャリア本と言えます。

そして主人公のかちかち山に何か心を寄せてしまうのは、かちかち山が下積みをして、成長していく姿に共感してしまうからでしょう。

この絵本を見れば、力士も華やかな世界ではなく、ごく普通の苦労がともなう職業人であることが分かります。

職場の近くにちゃんこ屋さんがあり、たまに行きます。引退した力士がスタッフとしています。幕内の力士などごく一握りしかなれません。化粧まわし、ひとつ何百万という豪華な話も聞きますが、一方で体調管理の厳しさなどの現実も聞き、本当に厳しい世界であることが伝わってきます。この店の定食のご飯はどんぶりで出てきます。

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