教えることは最大の学び。

教うるは学ぶの半ば

ということざわがありますが、文字通り教えることの半分はその人にとっての学びになっているということです。教えるためには教えられる人よりも5倍の知識量がないといけないと言われています。また、人に教えるためには準備もしなくてはいけません。その準備に時間がかかるわけです。

人に教えるためには、まずは自分の知識を体系化しなくてはいけません。つまり自分の持っている知識の何を伝えるのかそれを明確にしなくてはいけません。また、教える側としては知識になってないものもあります。その人がもっているノウハウや暗黙知といった、その人自身も人に説明することができないそんな知識を言語化するなんてことも必要になってきます。

そして何を伝えるかが明確になると、どうやって伝えるかを決めます。ここでも工夫が必要です。知識をそのまま伝えても教わる側の学びは深まらないので、知識を教わる側に定着させるために知識に肉付けをすることが必要です。たとえば「知識を具体的に説明する」「知識と知識を比較して違いを示す」などして知識を理解してもらうための教える内容の設計をしなくてはなりません。それはレッスンプランやマニュアルと言われる教える側のシナリオに落とし込まなくてはいけません。

次は教材などの作成が待っています。この教材もテキストなどのドキュメントにしてみると、自分が教える内容を理解していないと文字にすることはできません。また、ここでもテキストに載せる情報や敢えて載せない情報(直接話をする)など、教えることを意識した教材作成が必要になってきます。最近では教わる側を飽きさせないように動きのあるようなスライドなどの視覚教材も補助教材としては必要でしょう。そして、いざ教える人たちを目の前にすると、予定通りにはいかないので、いかにすれば伝わるか、いかにすれば教わる人が理解するかの試行錯誤を繰り返します。

ざっと教えるために取り組むことを挙げましたが、人に教えるとなるとこれだけの気の長いプロセスに向き合わなくてはなりません。そして、伝えたい内容を人に分かりやすく、しかも教わる人が分かるようしなくてはなりません。分かりやすいならまだしも、分かってもらうには一筋縄にはいきません。それは人に変化を促すことだからです。ただ単に知っている、記憶にとどめるだけでなくて、それを自分で説明したり、その知識を違う場面でも使えるようにしなくてはいけません。講義を受けたあとに自分の言葉で説明をさせたりすることが最近は増えていますが、これは学びを深めるためなのです。人を変えるという難易度の高いことに関かわれる経験は、まさにその人にとっての学びに他なりません。教えることは買ってでもした方が良いのです。

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