学校と企業との人材交流。

知り合いのお子さんが今年小学1年生になった。10月までに担任の先生が3人変わった。最初の先生は5月、次の先生が7月に変わったということだ。理由はともに体調不良ということだからその激務がうかがえる。教室内の様子を聞けば、授業中座っていられない子が10人いる。また、生徒間のトラブルなど発生していて、学校は何かあると「学校に言ってきてほしい」と言ってるのだそうだ。つまり当事者間で解決しないでほしいということだ。低学年の児童、そして何かあると過剰に言ってくる親たち、そして授業の質をあげる、などさまざまなことが学校の先生に求められており、学校の先生が体調を壊しやすくあるのは確かだろう。

過剰な社会、過敏に反応する周囲、厳格化される視線などに学校も置かれているということである。やはり、それを一手に先生一人が引き受けてしまっては身体も心も持たないだろう。一昔前は、先生は子どもたちと同じように休みがとれて、しかも公立学校の先生は公務員待遇だから好条件などといっていたが、今やそんな条件も傍から見ればの話で、当事者である先生はやはりハードワークをこなしている。

先生を取り巻く環境も変わっており、民間企業を経験した学校長の採用などもあり、また先生も社会経験を積むということで民間企業へ研修として派遣されたりする。研修というよりはインターンシップだろう。民間企業の仕事の進め方やビジネスの厳しさみたいなものを学ぼうとしているのが伝わってくる。民間企業は営利企業なので、組織体としては学校とは違う。また、民間企業の目的は利益になるので、効率性や経済性が求められる。そこから、学校の先生が学ぶべきものはある。

さて、民間企業に目を転じたときに、やはり、浮いている人もいる。たとえば、社内失業者と言われている人。仕事のやりがいなどを失っている人、あるいは自分のもっているスキルの陳腐化に直面して居場所を失っている人。少なからず現実に企業の中には存在する。そこで一つの提言だが、企業と学校での人材交流を先生だけの研修に終わるのではなく、企業人の人材育成にも考えてみてはいかがだろうか。

学校現場も課題が山積している。また、その課題に取り組まないということは子どもたちにも影響があるということだ。その優先度も影響度も高い学校の課題を学校現場と企業が協働で取り組む。互いに人を派遣して。課題解決の経験は企業人にとっても得難いものであり、そのことが今後の自信につながる。今後が期待される若手社員から停滞しているシニア社員までが参加することで新たな可能性があるかもしれない。子どもに接することで、普段見えなかったことが見えてくることもあるだろう。そして、何を言われても堪えない、わが道を行くような問題社員というものが、この過敏な現場でも状況に右往左往されることなく、子どもとじっくりと向き合える可能性をもっているかもしれない。

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