地方移住イベントは大盛況。

AERAの内田樹さんの巻頭コラム(何号かは失念、スイマセン)は印象に残るものでした。コラムの要旨は「国破れて山河あり、国は破たんに向かっている、ただ若者たちのあいだで面白い現象が起こっている。東京から地方へ若者が移住して、第一産業に関わっている。若者たちは本質的に何が大事かをつかんでいる。それが山と川ではないか」といった内容でした。

地方への人の流れも、Uターン、Iターンだけでなく、Jターン、Oターンまで最近はバラエティーに富んでいます。そして、必ずしも一次産業だけでなく、東京の会社が地方に拠点を移すなんていう事例も出ています。私も使っています名刺管理のEightのSansanさん、オフィスは徳島の神山町にあります。なんと、開発だけでなく営業部門も東京から徳島にもってきて、それで売上が伸びるという効果も出ています。

これがオフィスです。

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さて、先日東京で開催された『地域仕掛け人市』に参加してきました。今の地方移住の勢いを表していて、会場は500人の定員オーバーの満席状態。地域で活躍している仕掛け人たちが集まって、各ブースでその地域のPR、団体のPRをしていました。このイベント、PRが目的ではなく、もっと目的志向のもので、移住を希望する人と地域のマッチングサービスでした。団体のスタッフ、地域コーディネーター、地域おこし協力隊、学生インターンなどを募集しており、希望者はその募集について詳しく話を聞くことができます。私もブースに入って、教育、伝統産業、第一次産業に携わることについていろいろお話聞かせていただきました。自然豊かな風景、地域の人々がくったくなく笑う姿は確かに魅了されました。そして、現在の自分の置かれた環境と比べると、どうしても無いものねだりをしてしまい地域がいい、と思えることもあります。

地域仕掛け人市

今回の参加は学生よりもはるかに社会人が多かったです。その中でどれだけ本気で移住を考えているか分かりませんが、やはり気になるのは賃金です。今回、賃金や助成金など実際のデータを示してもらいました。やはり、今の生活と比較をしたり、今後の将来のことを考えると二の足を踏むというのが率直な感想です。別に地域の暮らしを否定して、都市の暮らしが良いといっているのではありません。都市で生活が成り立っていて、地域に出向くというのは、やはり自分の中で大きな変化と決断がいります。それは価値観や思想が転向するくらいのことです。

そして、やはり地域に行くと、地域の抱えている最先端の課題、産業の衰退、担い手の不足、人口減少に向き合わなくてはなりません。豊かな自然と山の幸、海の幸を手に入れる代わりに、自然の厳しさ、幸と巡り合える不安定さにも向き合わなければなりません。人間関係の希薄さは解消でき、地域のつながりは強固になるかもしれませんが、やはりつながりや付き合いの煩わしさ、不自由さを感じるかもしれません。良いところだけではなく、デメリットもあります。それを分かったうえで、自分の大事にしたいものが、望む未来が地域あれば地域を目指してもよいのでしょう。

ただ、もはや地域と都市の二項対立で語られるべきものではないのかもしれません。やはり、人であり、地域であり、衰退の波はとめることができません。そこに一時しのぎのカンフル剤のような施策をもってきてももはやあまり意味のないことで、どこに居ようと衰退の中でしぼむことに向き合うことの覚悟と心構えが求められているようでなりません。そのときに自分がどこに居たいか?それが自分の求める地域です。

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