営業は科学ではない。

営業の同行訪問。同行した営業担当者は、お客様の話をじっくりと聴くタイプ。特に彼から提案やアドバイスをするわけではないのだけど、お客様は聴いてくれる彼を快く思い、勝手にしゃべって、勝手に自分で解決策を見出してしまう。もちろん、彼は聴く以外になにもしていない。

おそらく、彼と今回のお客様だからこそ成り立つことであって、彼が営業を外れたり、違うお客様が出てきた場合はこうもいかない。今回傍から見ていて彼とお客様の関係を見て思ったのだが、例えるなら韓流ドラマのようなものが出来上がっていた。営業である彼は微笑みの貴公子(古いか)、そしてお客様は韓流ドラマにはまる女性。

今回、彼の営業の成功のポイントを共有化するために同行させてもらったのだが、彼のような人を安心させる笑みやお客様についつい話をさせてしまう若さみたいなもは、あくまでも属人的なものであり、共有は無理だと思った。たとえ、戦略的な営業アプローチや商談シナリオを設計したところで、営業担当者が異なれば同じ結果は間違いなくでない。つまり人が違えば、再現性がないということである。

ビジネスでは、属人的な要素を排除すべく、誰がやっても同じような結果が出せるように標準化したり、それを仕組みの中で運用しようとする。こと、営業の世界に限っては、やはりそれは無理なことである。もちろん、成功の確率を高めたり、少しでもエラーをなくすために標準化や仕組み化できるところはすればいいのだが、結局、それを動かすのは人であり、最後には人で決まる。

営業の世界では誰が担当するかで、成果が決まってしまう。Aという営業担当者がAエリアで1億円の売り上げをあげていたとする。Bという営業担当者が同じAエリアで1億円の売り上げをあげることは不可能なのだ。それがやはり営業は個人の要素に左右されるということなのだ。

「営業は科学ではない、アートだ」と言われることがある。再現性のあるものを科学とすれば、やはりその人だからできることはアート作品のようなもので個性がある。営業担当者にパーフォーマンスをあげてもらうには、その人の良さを最大限に引き出すことに他ならない。営業マネジャーは営業担当者の個性を把握する。この一言につきる。

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