古いものを古くさいと思わない。

商品・サービスを出していると時代の流れからしてみれば、さすがに古臭い、時代遅れというようなものが出てくる。「顧客ニーズにあったもの」「最先端のもの」「トレンドに合わせたもの」それらを目指して日々新しい商品をつくり、サービスの開発を行う。そして、コストや効率化を意識しながら、高度な顧客の要望に合わせて社員が疲弊しながらも新たなものができる。そして、それらは数年すれば廃れて、なぜか「古臭いもの」になってしまう。

さて、ここで足を止めて考えてみたい。私たちは常に時代の変化に追随していかなくてはならないのか?新たなものを欲しなくてはならないのか。古くなったものを古いままつくり続けることも時には必要であり、また使う側も古いままで不平不満を言わず使い続けることもあってもいいのではないだろうか?それこそが不変の価値といえなくもないだろうか。

以前、知人の会社で今後のビジョンを考えたそうだ。その会社は老舗企業であり、新興勢力に押されて、市場シェアを失いかけていた。「今後どういう方向で舵を切るか」ということが全社員を集めて夜通し話し合われた。お客様の声として、その会社に抱くイメージとして「老舗」「長年の信用」などもプラスに受け取れるものもあったが、「保守的」「昭和的なサービス」などという辛辣な声もあった。若手社員からは「このままでいいのか」と問題提起もされた。ただ、そこで出た今後の方向としては「顧客は当社に新たなサービスを望んではいない。今までの信用の上に、変わらなく価値を提供していく」ということになったそうだ。

確かにこの会社のように変わらないという選択肢もある(その後、この会社がどうなったかは知らない)。今のサービスを変わらず使い続けている顧客がいれば会社は成り立つかもしれない。ただ、今のサービスを使い続ける顧客が卒業したときに、その古臭さの真価が問われる。

話は変わるが、先日笑ったのが『ホテルカリフォルニア』を職場の同僚と聞いていたら、50代後半の先輩は「懐かしいな~」と感慨深そうに聴いていたが、ひとまわり離れた私の世代はリアルタイムではないがどこかで聞いた記憶がある程度、今年の新入社員が「なんかサイケでぶっ飛んだ歌詞ですね」と近づいてきた。そう50代の先輩社員には古く懐かしい歌も、初めて聴く人にとってみればなんだかよくわからない好奇心を誘う歌になる。

昭和のサービスをそれを知らない世代が受け止めたとき、どんな捉え方をするか。それが企業の存続のカギとなりそうだ。いつの時代の人にも受け入れられる、それが不変の価値である。古い新しいではない。古いものさえも古いと思わせないことが必要なのだ。

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