「もう1年なんですか~。時間が経つのは早いものですね」
最近、私の周囲の人、時間の経ち方が早いんです。当たり前ですが、人間に与えられた時間は1日24時間ですから、時間はすべての人に平等に与えられています。ただ1分、1時間、1日の流れが人によって早い、遅いがあります。これが時間感覚というもので、同じ時間なのにひとぞれぞれ受け取り方が違います。
さて、私が上記のセリフを聞いたとき、「この人たちは日々、そんなに面白いことがあるのか?その割には悲壮感に満ちた顔をしている」と思いました。人間というのは退屈で、くだらないと思って時間を過ごすと、その時間を長く感じる傾向にあります。私も学生時代、いろんなアルバイトをやりましたが、同じ作業を繰り返し繰り返しやるととても時間が経つのが遅く感じました。逆に楽しいこと、自分が充実したことであれば、その時間はあっという間に過ぎてしまいます。実際に休みなんかもすぐ終わります。
よくビールジョッキでたとえられますが、ビールジョッキに半分の量のビールが入っているのを見て、あなたはどう思いますか?
「まだ半分ある」
「もう半分しかない」
前者であれば結構おおらかなタイプの人です。後者であれば不安を抱くタイプです。時間も一緒です。「まだ半日ある」か「あと半日しかない」、後者のように時間を早く感じる人は心配性ということになり、それが時間に対する価値観につながります。 時間と言うものはプロセスとその結果についての感じ方があります。プロセスが楽しく感じていても、その結果を悲観的に感じてしまってはこれまでの時間の過ごし方が台無しです。逆にプロセスは退屈であっても、それが済んだ後に、「あの時、自分は成長できた」なんて思うと、それはそれで救われた気持ちになります。「もう」を「まだ」に変えれば、時間が経ったことに対する受け取り方も違ってきます。
そもそもの話をしますと、昔は時間なんか気にしなくて良かったんです。草木も眠る丑三つ時とか、宵の口とかを人は感覚的につかんでいました。「あっ、そろそろだな」なんて。でも時計ができて、カレンダーができて、数字で時間がつかめるようになって、人の時間に対する感覚はどんどん失われていきました。おそらく身体のなかに体内時計がある人は少なくなっています。「そろそろ1時間経ったか」と時計を見ずに言い当てられる人など少ないはずです。時間を数字でとらえない”そうすると時間に対する感覚も、焦りを伴わないものになるかもしれません。