ムズカシイ目的に取り組む人にまわりは心を寄せる「地球をほる」

相変わらず、川端誠さんの本は大胆です。地球をほる

地球をほる
作・絵:川端 誠出版社:BL出版

絵本ナビ

「地球をほる」川端 誠(BL出版)

対象:5歳~ ジャンル:冒険、異文化

刑務所の囚人が食事に出たスプーンを持ち帰り、自分の部屋に帰っては壁を取り外し、スプーンで土を掘り進めついには脱獄するという話があります。私は結構この話に感心させられます。なぜって、目的を達成するための努力を超えて、もはや目的達成の執念を感じます。そして、目的を達成するための手段が小さい。スコップじゃなくてスプーンですよ、スプーン。

目的に対して小さい手段で成し遂げた場合、それは賞賛される話になる。

脱獄記事

私の周りにもいました。1人で他部門の力を借りずに何千万円の案件を受注してきた人とか。ちょっとしたヒーローです。私もなんでその案件が受注できたか聞いてみました。

「お客さんの仕事が好きだから」

返ってきたこたえでした。もはや、自分の売上目標とかはまったく眼中になく、お客さんを応援するのが楽しい、お客さんのところで常駐して一緒に仕事をするのが楽しいというのがその人のモチベーションでした。なんか、目標の質が違うと思いました。

そういえば、小学校6年生のイチロー選手の夢は野球選手になることではなく、「野球選手になって今までお世話になった人をゲームに招待して、その人たちを喜ばせたい」です。これも目標のレベルが野球選手になることを超えて、はるか先を見ています。

高い目標、目的は人をやる気にさせますし、それを達成した人、また達成する過程で人は心を寄せてしまうのです。

さて、この絵本も高い目的系の話です。

ケンタッキー州にいるおねえちゃんのペンパルに日本から会いにいくというお話です。しかも日本から穴を掘って・・・

やはり、この子どもたちがすごいのは、真下に掘るのがダメならナナメに掘るとか、地図をみながら自分たちの位置を確かめ、そして修正しながら掘り進める。もはやプロジェクトマネジメントです。その過程で周りの大人たちも協力し始めます。食料を差し入れる。地底から出たごみを受け取るなど。その支援するシーンが笑えます。そして、ついには子どもたちはケンタッキーに到着します。子どもに読み聞かせたとき、偉大なことを成し遂げたことよりも

「英語なの?」

日本語圏から英語圏に移り変わったことの方にに驚いていました。そうです、地球は丸いのです。大人はおとなで、子どもはこどもで驚きと教訓を得られる絵本です。

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