この絵本、発想がダイナミックです。
おすしが題材です。しかも回転ずしです。スシローなんか行ってみると、休日は子どもたちでいっぱいです。まさに子どもとたちの心をわしづかみにしている食べ物としくみです。
すし×ベルトコンベア
という発想は回転すしが出たころは、面白い発想だと思いました。また、不思議と回転すし以外は成り立たないから不思議です。しかも、最近の回転ずしって食べるだけでなく、楽しませる要素もあるのが人気の秘訣です。たとえば、タッチパネルから自分がほしいネタを注文でき、自分が注文したものがくるとアナウンスされたり、お奨めのネタがまわってきたり、これだけで子どもははしゃぎます。
回転ずし×エンターテーメント
このさらなる組み合わせがスシローを人気店にしているのだと思います。さて、今回は別にスシローのビジネスを語るのではありません。あくまでも絵本の紹介です。
まずは回転ずしという、子どもが好きなものを題材にもってくるのがうまい。
そして回転ずしが脱走するという発想が素晴らしい。まわってばかりじゃ「いやになっちゃうよ!」。これ、およげたいきやくんと同じ発想です。まいにちまいにち鉄板の上で焼かれて「いやになっちゃうYO」です。ベルトコンベアが直線になって、おすしが脱走します。ベルトコンベアを直線ですよ。これも新たな発想です。
こととん こととん こととん とん おすしはみせをとびだして まっすぐ すすむ まちの なか
文章も詩的なリズムがあって読みやすい。そしておすしを見る人々もいろんな人がいて、いろんな表情があって、絵の色つかいが鮮やかで実に見やすいです。そして、おすしは海を越えて外国に。
おすし×海外旅行
この組み合わせ、ぶっ飛んでますね。新しいものや新しい考えって、結局は既存のものと既存のものとの組み合わせなわけです。おすし×海外旅行の組み合わせは、意外ですが、見ていて実に楽しいんです。ブラジル、フランス、エジプト、スイスなど、おすしはいろんな国を旅してまわります。エジプトなんかは日差しをよけるパラソルをおすしがさしていて、細かいところが実に凝っています。
そして、今度はおすしは空へと飛び出します。おすし×宇宙旅行です。おすしが木星の輪っかを周りはじめます。子どもたちにはこれくらいの発想をもってもらいたいもんです。
この本、発想力という観点からも学ぶものがたくさんあります。
文は竹下文子さん×絵は鈴木まもるさん、この2人の組み合わせでできた世界です。本当にこの作品はいろんなものの掛け合わせで面白さが増しています。