コーヒー屋のご主人と話をする。実は結構楽しみな時間だ。「今日の豆は自信作」とかそんなたわいのない話だ。
ふと、目にしたのが、コーヒーの基礎知識なる本。
「いやー、消費者もコーヒーの基本的知識くらい知っておかなければいけませんね」
そうだ、コーヒーなんてこれまでさんざんっぱら飲んでいるのだ。でも、意外とコーヒーのことは知らない。焙煎方法もあんまり知らない、産地のこと、原料のこと、ブランドのこと、実は知らないことだらけなのだ。コーヒーにまつわることはいろいろあるのだけど、人に語れることなんてこれっぽっちも持ち合わせていない。
「最近、コーヒーの入れ方講座なんてあるじゃないですか、そんな講座ってやらないんですか?」
と投げかけてみた。コーヒーを正しい入れ方でおいしく飲みたいというニーズは少なからずあるのではないだろうか。現にうちの近所スターバックスでは講座が開かれると満席になる。
「コーヒーを入れるのに、せめてこれだけはやってほしいというものはあるんですけど、でも、基本的にお湯を落とすのって、わずか何秒間ですからね。しかも水でもコーヒーはでるわけですから」
たしかにそうだ。水だしコーヒーもあるぐらいだから。お湯の温度、時間は実はなんてことないかもしれない。私も何秒で落とすなど、こだわりはない。豆さえ良ければ、結構おいしくできる。
「コーヒーの味は焙煎で決まります。焙煎8割、入れ方2割ではないでしょうか」
むしろ、それであれば型式ばった入れ方ではなく、コーヒーも日々色んな味が出てくるので、2割でいろんな楽しみ方があってもいいのではないかと提案された。上記の本は実はそういう本だった。
毎日、同じやり方で同じ味を出すのも大事なことだが、毎日、その人の体調、そして天気、気温、湿度によって味が変わることもある。それくらいの許容性や遊びの部分がないと嗜好品はたしなめない。