ワーキングマザーと一緒に働いたことがありますか?特にお子さんが小さい人の場合、お預かりの時間があるので夕方には退社します。限られた時間でパフォーマンスを出そうとするため、その集中力は半端ないです。あるワーキングマザーに聞いたのですが、出勤時、家を出た瞬間から仕事の段取りを考えていたそうです。そして、限られた時間で仕事をしようとするために、改善意欲も高いです。改善提案なんかもバンバン出してきます。
ワークライフバランスの一環で定時退社を促している会社があります。こちらもワーキングマザーと同様、おしりが決まっているので、それまでに仕事を終えなければなりません。集中力も高まり、生産性も高まったとか。そして経営者としては残業代を抑えることができたのは言うまでもありません。
この2つの例から何が言いたいか。
むやみな残業はやめましょう、それもあります。時間を決めれば生産性が高まる。確かにその効果もあります。
作用があれば反作用もある。
これは世の中の法則です。
ムダを排除して時間内で仕事を終わらせようとすると何が起こるか。
余計なこと、どうでもいいことをしなくなります。
そもそも余計なことは余計なのです。つまり別に誰かがわざわざやらなくてもいいのです。どうでもいいことも、いちいちやらなくてもいいのです。新しいことというのは、この余計なこと、どうでもいいことをすることで生まれます。先ほどの改善は仕事のやり方を変える新しい試みなのですが、目的は時間内に仕事を終えることであり、誰もがその利害に大きく関係しているので、同じ目的に進んでいるのです。一方で余計なこと、どうでもいいことは、それを実現することで何が起こるのかやってる当人すらわかっていないのです。
新しいことというのは「こんな新しいことすれば儲かるんじゃない」とか。「こんなのつくってみたんですが、売れませんかね」みたいなものです。別にそこの担当でなければ、やる必要のないものをあえて自分がやることです。しかも、そんな提案をあげようものなら、社内で批判されたり、叩かれたり、そのための説明をしたり、関係者にネゴしたりとさらに仕事が増えるわけです。仕事が増えることがわかりきってるのに、好んで仕事を増やす人はいません。ましてや時間内に仕事を終えたいのです。プライベートは仕事以外のことをしなくてはならい人であればなおさらのこと。
効率だけ突き詰めても、新しものは生まれません。ムダなことばかりしても、成果に直結するかどうかわかりません。どちらかではなく、バランスが大事なのです。効率とムダを両方取り入れるような働き方、これが今の経営に求められているのではないでしょうか。効率や利益だけではなく、思いっきりムダも推奨するような施策が出てもよいのです。