絶版ですが、あえて紹介したい絵本です。
「おまつりおまつり!」ブロイスラー(さく) フォーゲル(え) たかはしようこ(やく)偕成社
対象年齢:4歳~
私、渋谷や代官山を通って、職場に行きます。すると大豪邸があるんです。この人たちはいったい何の仕事をしているんだろう?自分にはこのような大豪邸を持つことはないだろうなぁ~なんて溜息をもらしながら歩くことがあります。今でいえば、格差社会を感じる光景です。
大豪邸に住みたいという欲求も確かにないとはいえませんが、むしろ他の人の仕事を経験してみたいという欲求は意外とあるんじゃないでしょうか。
「もう少し若ければ、●●にチャレンジしたのになぁ~」
「実は小さいころ、●●になりたかったんです」
といった職業に対するかなわぬ夢、あこがれは意外と多くの人から聞くことがあります。
今回の絵本はタイトルの「おまつりおまつり」は絵だけで、実はおまつりの中で働く人の職業をうらやましがる人たちの物語です。どんな職業でもいいことばかりではありません。就職情報などは良いことばかりアピールしますが、そんな職業こそブラック職業です。仕事には楽しい面もあれば、その反面つらいこともあるのです。楽しいばかりの仕事、モチベーションが高まる仕事、やりがいばかりがある仕事など世の中にはありません。
この本、おまつりに現れる登場人物が他の職業、手品師、オルガ弾き、ソーセージ売りなどうらやましがります。でもうらやましがられる職業の人は別の仕事がうらやましかったりして、仕事のうらやみがまわりにまわって、結局自分の仕事も誰かにうらやましがられている、ことになります。
仕事なんてどこか隙間があって、それを人の仕事をうらやむことで埋めたりする現実をよく現していると思いますし、一方で自分には「これしかない」と他人をうらやまない仕事に就ければ幸せなんでしょうね。