発注者のレベルの見分け方。

営業を長年やっていますと、顧客からコンペのお話をいただきます。そのコンペの依頼のしかたで発注者のレベルが分かります。特に私の場合は、提供している商品やサービスがモノではないので手に触ることも、見ることもできません。顧客が発注するためには、顧客が納得するための情報が必要になってきます。

コンペの依頼ですが、仕様書のようなものを見せてもらうことが多いです。“企画の背景”とか“企画のねらい”とか、そういったものを見せていただきます。それに基づいてこちらは企画のねらいの具現化をします。場合によっては、そのために顧客の状況やニーズなどをヒアリングします。逆に仕様書にはそのようなものが書かれていないので、ヒアリングは必ず必要になります。

この間デザイナーの方とお話しましたが、コンペのスタイルは似ていました。顧客の想いやニーズをヒアリングして、それをデザインとして見せる。そのデザインが気に入られれば、無事発注となるのですが、実際は顧客から新たな要望が加わったり、実際の完成品を見せると「なんかちょっと違うんだよな」なんて言われて、何度も試作をやりなおすなんてことはざらにあるなんて嘆いていらっしゃいました。

コンペになると顧客はA社、B社、C社…からプロポーザルを受けて、どこに発注をするか決めるわけですが、顧客はどのように評価するのでしょうか?A社、B社、C社のプロポーザルを比較してメリット・デメリット、当社と相性が合うかどうかなんて決めるのはよく聞きますが、その前に顧客である発注者自身がどんなものをつくりたいのかのイメージを持っていなければいけません。最近は発注者のイメージがないコンペが増えています。だからいざ発注となっても、仕様がころころ変わったり、つくりなおしが発生するのです。最初から発注者側も「私たちが欲しいのはコレ!あなたたちはコレをつくって!」とアウトプットを自分たちで提示する必要があるのです。それが仕様書の中に示されれば、追加でヒアリングなどといったことも生じません。

「われわれができないから外注をする」と発注者側の論理もわかりますが、発注者はその業界、分野、世界での専門職務の人、つまり会社の部署があるわけなので発注する内容については自分でも知識を持ち合わせておかなくてはいけません。ラフ案やスケッチでもいいので、アウトプットイメージは出さなくてはいけません。またそれを評価基準にすべきです。それがある発注者に対して、コンペに参加する会社は、そのアウトプットイメージが顧客の問題解決につながるのであれば形にすればいいですし、そうなじゃい場合、顧客の思い込みや「そのアウトプットで現状の問題は解決できないだろう」と思えば、それを真摯にアドバイスすれば良好な関係が築けるのではないでしょうか。

発注者と受注者の関係も、コンペで負けたからこれでおしまいではなく、コンペに負けたところに対しては、発注者側はその理由をフィードバックしてもいいのではないでしょうか。もちろん、まじめにプロポーザルしてきたところに限ります。コンペに参加する側はコストがかかります。発注者側もコンペのたびに新たな参加者を探してくるのはコストです。そう考えれば、発注者、受注者の関係ではなく、パートナーとしてみて受注者候補を育成することも必要です。

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