私が初めて子どもに買った本です。
「ふたりはともだち」作:アーノルド・ローベル 訳:三木 卓(文化出版局 ミセスこどもの本)
対象:5歳~ ジャンル:友情
私がよく行く代官山蔦屋書店で買いました。この書店は各本の売り場にアドバイザー的な役割の“コンシェルジェ”が配属されています。旅行、料理、映画・・・そして絵本も売り場があり、コンシェルジェがいます。当時、妻から子どもに絵本を選んでやるように言われて、これまで絵本など手にもとったことのなかった私にコンシェルジェが奨めてくれました。絵本の内容よりもコンシェルジェのお奨めの言葉に感動して買ったといっていいです。
最後のシーンでかえるたちが手紙を待つシーンがあるんです。それを見るとなんだか優しい気持ちになるんです。
と本当にこの絵本が好きそうに話されていたのを聞いて、「この人のいうことであれば、間違いないかな」と思って買いました。そういえば、このころ、子どもはまだ2歳で少し早いかなと思いましたが、コンシェルジェの言葉が背中を押しました。
この本、第1刷が1972年に発行、私の手元にある本が2012年の第174刷と驚異的な刷数です。それほど読み継がれてきた名著と言えます。かえるくんとがまくんの2匹の友情のお話ですが、5話もあるので結構お得感もあります。そしてコンシェルジェのおすすめのお話は最終話の「おてがみ」です。一度もおてがみをもらったことがないがまくんに、かえるくんがおてがみを書いて出します。その手紙ががまくんの家に着くまで、2匹で待つシーンがほのぼのとさせるのです。
さて、この本、実を言うと子どもはあまり聞いてくれませんでした。私も最初に比べてあまり読まなくなりました。
それはなぜか?めんどくさがりで、おっちょこちょいで、否定的になるがまくんに、かえるくんがはげましたり、助けたりする友情です。そういやがまくんのような友人っていました。
「どうせおれなんて・・・」
「そんなことやってもムダだよ」
「できっこないよ」
こんなセリフを開口一番に言う人いますよね。そんな友人をなんとかやる気にさせたり、はげましたりするのです。これは辛抱づよくないとなかなかできないことです。友人に世話を焼きたがることに喜びを見出せないと出来ることではありません。言ってみれば、それ自体がどこか、
母性的な友情
と言えなくもありません。男女の関係でもそれは言えます。おっちょこちょいで、どこか抜けている男性に対して、女性が世話を焼く「この人は私がいないと何にもできないんだから~」とか言って。逆に男性が女性にそうするなんてことはあまり見かけません。テレビでやっていた”干物女”がそのケースでしょうか。だからうちでは本棚に眠っているのかもしれません。お父さんが読むよりも、お母さんの読み聞かせとしておすすめしたい本です。よく見れば“ミセスこどもの本”とありますね。