子どもは新幹線好きですね。
「新幹線のたび ~はやぶさ・のぞみ・さくらで日本縦断~」作・絵: コマヤスカン(講談社)
対象:3歳~、ジャンル:日本地図
男の子には新幹線に魅了される時期が来ます。
個人差はありますが、2歳~3歳くらいがピークではないでしょうか。
東京駅に行って、新幹線をひたすら、じっーーーーと見ているのです。乗りません見るだけです。
しかも、JR東日本も色とりどりしかも連結器など、子ども心をくすぐる新幹線を走らせるものですから子どもの新幹線熱は高まる一方です。ついには新幹線が連結したり、切り離ししたりするシーンを見るために盛岡まで行くことになります。
さて、そんな新幹線好きな子どもにはプラレールか新幹線の絵本を渡せば、にこにこして平和な日々が訪れます。結局、プラレールの新車両が欲しいだとか、自分の持っていない列車の絵本が欲しいなど、なぜか物欲がステップアップしていくのは新幹線(列車)の魔力です。
今回は新幹線本のなかでも、とりわけ深いものというか、内容のあるもの。
この本、女の子が新青森からおじいさんのいる鹿児島中央駅まで新幹線で日本を横断する贅沢な旅ですが、ただの新幹線本ではありません。新幹線の移動を俯瞰的にとらえることができ、かつ新幹線のなかにいる自分たちにも視点が当たり、視点が交互に行ったり来たりします。
また、新幹線を俯瞰的にみるということは日本を見るということです。東北、関東、東海、関西、中国、九州と新幹線は走りますが、その地域の描写が実に細かく、加えて遠近法なども用いられているため、地形が立体的に描かれていて見せ方がユニークです。
おそらく、新幹線の乗客であり、外の風景を眺める虫の目と、プラレールで遊ぶ時の視点、線路の全体を俯瞰して見れる鳥の目をいち早く備えることで、今後の人生を目先の視野だけでなく、全体最適の視点を持たせるようにしているのでしょう。かといって、全体が見れるようになるからといって、決して傍観者や批判者にならないようになってもらいたいものです。
「全体像を分かってないと動けないよ」
といって、全体像が分かってもなんだかんだ言って動けない大人って結構います。