失敗してもやりなおせる社会を「ぼちぼちいこか」

失敗してもやりなおせる社会を!どっかの政党のスローガンではありません。

「ぼちぼちいこか」作: マイク・セイラー 絵: ロバート・グロスマン 訳: 今江 祥智(偕成社)1980年6月発行

対象:3歳から ジャンル:失敗

子どもが自転車に乗り始めました。最初はなかなかうまく乗れません。ペダルをこぐこともうまくできません。ちょっとの坂道で進めなかったり、ペダルを踏み外したり、脇で見ていてもどかしくなります。といっても、いくら口で教えても本人がコツをつかまないことには、なかなか乗れるようにならないでしょう。そのコツはやはり“できないこと”に向き合ったり、失敗をすることでしか体得できないものなのです。そのためにはアタマで考えるより、まずは体験です。

失敗できない社会

日本はこのように言われてることが多いです。就職でも、起業でも、一度失敗をすると、もう二度と再起を図れないような言い方をされます。日本の社会制度の融通が利かなかったり、社会の風土が失敗に寛容ではないといったことがたしかにあります。現実には失敗をしても何度もチャレンジをする人もいます。失敗をしても立ち上がる気力をもって、失敗を克服することは難しいことかもしれません。でも、やっぱりそういう人は現れます。失敗の経験のある人、それを乗り越えた経験のある人、どちらも貴重なものです。かつて、私の知り合いの金融機関のトップは採用に関して、

家がお商売をしている子どもは採用したい。ましてやお商売が傾いたことがあればなおさらその経験は評価したい。

と言っていました。事業リスクの評価や失敗への耐性が幼い頃から身についているのはやはり武器なのです。

さて、今回の本も失敗の本です。主人公のカバがいろんな職業にチャレンジします。パイロット、バレリーナ、船乗り、ピアニスト、サーカス・・・、ことごとく失敗します。しかも原因は自分の重い体重に原因があります。それでもカバはダイエットすることもなく、果敢に同じ失敗を繰り返していきます。

そして、最後は「ぼちぼちいこか」です。海外の絵本を関西弁に翻訳することで、この本の良さを数倍引き上げています。今江さんの翻訳って素晴らしい。

通天閣

なんか、ぼちぼちいこかっていいフレーズです。

別に焦んなくていいんだよ。失敗したら失敗したで考えようよ、あるがままに。

みたいな感じで結構言われる方としては安心できます。過剰でリスクの許容性が小さい社会になってきたことは確かです。私たちの周りにも、こんなふうに声をかけてくれる人が一人でも、二人でもいてくれたら少しは楽になります。

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