コロなし自転車の乗り方を教えるのと同じくらい難しいのが泳ぎ方を教えること。
「じょうずになろうおよぐこと」文: 武藤 芳照 絵: 加古 里子 監修: 宮下 充正 出版社: 評論社
対象:6歳から 発行日: 1981年07月
この2つのことを相手に合わせて、順序だてて、ポイントを押さえた指導ができる人は教えることが向いている人だと思います。そのことがうまいことと教えるのがうまいというのはまったく異なる技術です。
うちの子どもはまだ泳げないので、妻に夏休み水泳教室で通わせたらと提案したら、「高い!」と言われてしまいました。1時間のレッスンで週5日通って1万円では高いとのこと、それなら自分が教えるというので、任していたらまったく教える気配がありません。
仕方ないので私がプールへ連れて行くと、
何から教えたらいいかさっぱり分かりません。
だって、自分がどうやって泳げるようになったなんて覚えていません。なんか海に放り投げられていつの間にか泳げるようになったのを覚えています。やり方が分からないのでとりあえず、浮き輪でばたばたやらしてその日は帰りました。妻に報告すると、
それではいつまでたっても泳げるようにならない。
と、手厳しいコメントが返ってきました。まずは顔を水につけることから始めなければならないとのこと。「そこまでいうなら自分でやってよ!」と思いましたが、この際水泳の方法論を身につけようと買ったのが今回の本です。
この本、人間の祖先は海の中で生まれた、といったところから始まります。そしてプールにはいるときのお作法から、水に慣れるためのあそび、およぎはじめのトレーニングまで実に幅広くカバーしながらも、その目的はまさにタイトルどおり「およげるようになる」ためのプロセスが忠実に書かれているのです。
まずは顔を水につけること。そして、水の中で目をあけれるようになること。
自分でもこんな段階を踏んだな、なんて思い出します。そして、呼吸法についても自分たちが無意識でやってることを意識的に実行するとどうなるか。これも説明しています。
そして、こむら返りになったらどうするか、海や川で遊ぶ時の注意といったリスク管理まで、実に子どものための水泳に関することがすべて網羅されています。
かなりの良著に出会いました。ただ、
読み聞かせにはあまり使えません。やはり大人が読んで、子どもに水泳を教えるための絵本です。