「農業はクリエイティブ」と「島耕作」でタイトル買いしてしまいました。

私が新卒で入った会社で先輩が言っていました。「いやー、島耕作って男の欲望描いてるよなー」

分かります、言わんとすること非常に分かります。仕事もできて、女性にモテてセックスも楽しむ、そして運がいい、これを男の欲望と言わずしてなんと言うのでしょうか。その島耕作もいつの間にか会長になっていました。

会長になった島は財界活動に精を出します。その取り組みのひとつが農業です。

日本の農業を立て直す、あるいは企業による新規参入を促すべく、島は奔走します。そして、企業の生産拠点を海外に移してしまった日本では、残る産業は農業であり、企業人はそれに従事すべきであるという主張にったどりつきます。乱暴な主張ですが、首肯できるところが多々あります。日本は既に企業の生産拠点ではないこと、そして企業も生産拠点を失った代わりの新たに雇用を創出しているかというとそうではありません。それであれば農業を企業化して、そこに新たな労働人口を呼び込むことができないか、というのが島=弘兼先生の主張です。

先生はこの作品を描くのにかなり取材やインタビューをされています。それを本にしたのが今回紹介する本です。

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本書ではオランダの農業のことを取りあげています。オランダは農業をビジネスとしてとらえています。これが日本の農業との違いです。

でも、この主張には矛盾があります。安い労働力を求めて海外に出たはずなのに、それが日本人の雇用を奪って、さらに企業より厳しいと言われている農業で働けといっているのです。企業で働いていたころに比べると、農業で食っていくには難易度が確実にあがります。また稼げたとしても企業ほどの給料は期待できません。また、都市部にいながら農業というのは難しい話で、都市部のサラリーマンを地方へ転出させなくてはいけません。

それであれば労働人口が地方にも確保でき、農業をして足りない分は自分で商いをして稼ぐ。そんな主張なら、多少はうなずけます。ただ、自分で小商いをできる人がどれだけいるかも疑問です。なんのみかえりなしに悪い条件を選ぶほど、サラリーマンはお人よしではありません。それでも農業に参入させる後押しがほしいところです。

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