シミュレーターよりリアル「でんしゃはうたう」

しかけてくる絵本です。

作:三宮 麻由子
絵:みねおみつ
出版社:福音館書店
対象年齢:3歳から5歳
発行日:2009年04月

電車好きの子どもは先頭車両に乗って、車掌さんを後ろからじっと観察します。

その後、たいていは自分で運転したくなって電車博物館のシミュレーターなどにはまります。ちなみに電車博物館のシミュレーターを操作しようとすると整理券が必要です。開場とともに整理券はなくなります。

さて、この本は先頭車両に乗った子どもの視点で描かれています。

しかも文字は、電車が線路を走るときの音だけです。これがタイトルにある、電車がうたうということです。ちなみに人間のセリフは

でんしゃがまいりまーす

だけです。

凝ってると思ったのが、

駅に到着するときの電車、

直線を走るときの電車、

対向車線に電車が通る時の電車、

カーブを走るときの電車、

鉄橋を渡るときの電車、

切り替え基地をとおるときの電車、

すべて電車の音が違います。また、シーンごとにリズムも異なります。電車のうたいかたは一通りではないのです。実に多様なのです。読んでいると最初はぎこちないのですが、やがて読んでいくとさまになってきて、いかにもそれらしい音になってきます。そこを走る電車のシーンが頭に思い浮かぶようになります。

そして、どの絵も電車から見える景色がかならず遠近法で描かれていて、感のいい子どもなら遠くと近くの距離感が分かるようになります。

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これまで色んな電車の絵本を読んできましたが、見せ方にも音と構図にこだわった絵本に出会ったのは初めてです。

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