色彩感覚はいかにして養われるか?おそらくエリック=カールのような世界に幼い頃から触れると、影響を受けるのでは、と思ったりします。
「くまさん くまさん なにみてるの?」(文)ビル=マーチン(絵)エリック=カール(偕成社)
対象:2歳から ジャンル:色
エリック=カールの絵本は、本当に色がきれいです。なんていうのでしょうか、色が鮮やかです。
西洋画の色は反射、日本画の色は染み込ませて色を出す
と以前、先生に教えてもらった記憶があります。その先生は問題提起をされ、モネやゴーギャンの作品は美術の授業で取りあげるのに、日本の横山大観や北斎の作品は美術の授業で取りあげられないと嘆いていました。確かに言われてみれば前者は反射の色使い、後者は染み込む色使いが特徴です。北斎の作品を見て「おぉーーー」と感嘆の声をあげる子どもたちが出てこなければ、日本画の色使いは誰が伝承するのでしょうか。
日本画色彩の伝承の危機はこのへんにしておいて、今回の絵本ですが、テーマは色です。くまさんを起点にいろんな色の動物を紹介していきます。茶色いくまさんから赤いとり、黄色いあひる、青いうま・・・と色鮮やかな動物たちにバトンが引き継がれていきます。そして最後におかあさん、子どもたち。お母さんと子どもたちには色はありません。
私は最初に青い馬、紫色のねこを見たときには違和感がありました。うちの子どもも白い犬を見たとき「怖っ!」などと言っていました。もしや私たちの違和感は、やはり動物たちが西洋の色彩感覚で描かれているからではないでしょうか?綺麗な色だけど、やはり私たちには「しっくり」とこない世界なのかもしれません。
そういえば、絵本でも日本画のような色を扱った絵本はなかなか出会えません。草木染のような緑、藍染のような青を使った絵本があれば、幼い子どもたち触れさせてあげたい色彩です。そしてこの絵本は西洋色彩の入門編としてはおすすめの本です。これからの子どもたちは日本の色彩感覚だけでなく、西洋の色彩感覚も身につける必要があります。色彩も世界の人々がいいと思わせるような色彩感覚を養わなくてはなりません。それがきらびやかなのか、染み込むかの違いはあるにしろ。エリック=カールの絵本はやはり「うわぁーきれい!」なんです。驚きの声が反射します。
あと、ちいさい子どもにはボードブック版が丈夫なのでおすすめです。