阿佐ヶ谷です。スターロード商店街にはたくさんの飲み屋さんがあります。「暖流(のれん)」なんかも有名ですが今日は開店してませんでした。
さて、阿佐ヶ谷の良いところは、飲み屋が多いだけでなく、かつ飲み屋で客同士が気軽に話せるというところです。
いやー、「袖振りあうも多少の縁」を感じずにはいられません。
若い女性からじいちゃんばあちゃんまで、まさに老若男女を酒場で見かけます。誰もが楽しめる、これは一過性ではない、飲みの文化が成熟している証拠です。
そして、阿佐ヶ谷って面白いのが1人で飲んじゃう文化があるんです。昔、日本酒とあてがうまい居酒屋(与っ太)があって、そこで飲んでたら、常連客の方がみんな本を読みながら飲んでました。やはり文士村の名残なんでしょうか。
大正時代の関東大震災後から昭和にかけて都心や下町から井伏鱒二をはじめ、与謝野晶子、太宰治、青柳瑞穂、伊馬春部、三好達治、火野葦平、徳川夢声など文人が住み、阿佐ケ谷文士村と言われた(荻窪・高円寺も含む)。(Wikipediaより)
でも、1人で飲むのは楽しくないです。
ということで、今日は存分語り合ってみました。
「いやー、ユニクロのヒートテックって普段着だよな」
「何言ってんですか下着ですよ」
「えっ、俺、ヒートテックだけ来て外出るけど、みんな出ないの?」
(一同)「ありえないでしょ!」
なんて、実にくだらないことで盛り上がっています。というか、確信しました。私たちが酒を飲んで語り合うのは、
たわいもないことを言う
から楽しいんです。これは絶対そうです。人間って真面目なことだけでなく、たまには“どうでもいいこと”を言いたいのです。それもただ言いたいだけでなく誰かとしゃべりたいのではないでしょうか。
次の投げかけはまだ面白かったです。
「彼氏にフラれたらどこに行きたいか?」
…じっとしとけよ、と言いたいところですが、その方いわく、どうしてもどこかへ行きたいそうです。いわゆる失恋旅行です。笑ったのが、
「私、失恋したらインドに行くんです」
何故???
はい、酒場のルールです。酔っ払いの会話につながりやロジックなんか求めない。思いつきで好きなことしゃべればいいんです。それをみんな聞いたり、聞き流したりするのが酒場です。
そして私の隣では会社の先輩後輩が飲んでいまして、
「だからお前はダメなんだ」
なんて責めてます。先輩をかばうなら、後輩を責めてるんではないんです。酒を飲むと、人間はなぜか
ダメだしをしたくなるんです。
正直に言います。酒場で交わした会話、全く何の役にも立たない内容でしたが、なんかほっこりしました。ここを去るのは名残惜しいですが、阿佐ヶ谷を後にします。新しくできたお店の看板には。
酒を呑むと金を無駄にする。酒を呑まないと人生を無駄にする
という格言が出ていました。
じゃあ、もう一軒行きますか(酒場放浪記風に)