マーケティングはMBAカリキュラムであるのですが、「営業」というカリキュラムはありません。それはなぜか?おそらく、営業の成果は営業マンによって左右されるので、営業というものを科学的、つまり再現性があるように教えられないからです。詳しくは下のビジネス書を読んでもらってもおもしろいです。
世の中には多くの営業マントレーニングがあるのですが、誰が受けても同じ成果が出るものはなく、人によってはそのトレーニングを受けてもまったく成果が出ない人もいます。
昨日、自分でも営業をして、営業もされ、知り合いの営業場面を見て実感したことがあります。
知り合いの東南アジアから来た女性は、日本語があまりうまくありません。「ワタシイウコト ホウトウネ コレイイヨ イイヨ」と強引に売り込みをします。それに対応するベテランの日本人部長は「そんなこといって、うまいこといってわれわれ丸めことしてるんでしょ。ハッハッ」なんて最後には笑い声が聞こえてきます。傍から聞いている分には、女性には論理も何もありません。ただ相手を楽しくさせ、和やかな雰囲気にさせるのです。たとえて言うなら、スナックでママと客が冗談を言っているような雰囲気です。
そして、その商談が終わり、職場ではソフトウエア会社の人から売り込みがありました。「いや、お会いする前に私のやろうとしてること電話で聞いていただけません?私のやろうとすることが御社の製品で実現できないのなら、来ていただいてもお互い無意味な時間を過ごすことになりますし」と電話で言いました。その営業マン「そうですね、それでは直接会ってお話うかがいましょうか。直接製品を見ていただくことも可能です」
えっ、人の話聞いてるの?
怒るどころか、むしろそのあまりの人の話に意に介さない姿勢に思わず笑えてきました。
最後は私の先輩です。この先輩、こじれた商談場面に出てきて、真っ白な頭でにこっと白い歯を出して笑い「まぁ、このくらいにしておきましょう」「まぁ、お互いの誤解がとけましたな」など、最後タイミングをみはからって決めの一言でクロージングにもっていきます。これまでは相手の話を聞いたり、いなしたり、なだめたり。もちろん、そこに明確なシナリオがあるわけでなく、相手や状況に合わせて対応を変えているわけです。
営業はアートか、サイエンスかといえば、両面持ち合わせています。教えて身につくことはサイエンスです。経験を積んでその人にしかできないものがあり、それはアートです。アートといえばカッコいいのですが、実はあいまいで、かついい加減なものだったりします。だから、人にしかできないのです。アートのいい加減さをAIに求めても、これだけは真似できないです。だから営業は面白い職業なのです。