少し前の講演の記録なんですけど、かなり印象に残ったので書いておきます。
「新ビジネスモデル研究会」 Business Platform Innovation Association (ビジネス革新協議会主催)で株式会社和えるの矢島里佳社長の講演会に参加してきました。「目からウロコのビジネスモデル」、そのタイトルに偽りなし!矢島社長の熱い想いを聞かせていただきました。
最初に矢島社長を見て感じたのが、
矢島さん、ご自身がベットタウンで生まれ育ったため、伝統文化に触れる機会がまったくなかったことに問題意識を持って、高校では茶華道部の門をたたきます(TVチャンピオン「なでしこ礼儀作法王選手権」で優勝されているようです)。そして茶器に触れるうちに、器の“良いもの悪いもの”の価値が分からないことから、それを解決するために今度はモノづくりの現場を知ろうと職人さんに会いに行きます。なんという問題意識の高さと行動力!実際に職人さんと会って器などを見ていくと、愛媛県の砥部焼で子ども向けにつくった器を発見します。職人さんいわく、その作品は人から頼まれたからつくったものだったらしいのですが、伝統産業には子ども向けにつくったものがほとんどないことに気づきます。そして、地域の伝統産業の職人さんと一緒にものをつくる事業を立ち上げます。
矢島社長の行動力と問題意識の連鎖、というか昇華が生んだビジネスです。事業内容は
2.和のコンシェルジェ事業
1.については、子どもが使えるものを職人さんが本気でつくったらどうなるか、伝統産業に子ども向けのものがないという矢島社長の問題意識がまさにカタチになっています。藍染の産着、砥部焼の器、和紙のボールなどの商品が出ています(お話を聞いているのは1年以上前なので、現在はラインナップは増えています)。そして器などは、小さい子が食べやすくするために“返し”がついています。しかも、大人が使ってもおかしくない、むしろかっこいいものです。商品のコンセプトはなんと、
人生でここまで器と付き合えるのは正直、使う方も使われる方も幸せです。
2.については、職人さんと企業や学校を結び付けるという事業です。小学校に伝統産業を伝えるための出前授業なんかもあるそうです。
この和えるさんのビジネスモデルは伝統産業としては新たな使い手をつくることができます。職人さんも後継者をとることにつながり、雇用の促進、地域の活性化につながります。新たな使い手である子どもは“本物の良さ”が分かるようになり、そしてその親は子どもを通じて伝統文化に触れることができます。子どもにモノを与えるのは親です。実は子どもよりも親世代こそが本物を見分けて、子どもに与えることが必要です。親世代が伝統文化から遠のいていることも多く、実はそこが真の問題かもしれません。実はaeruさんはそこまで見越しているようです。関係者への影響も広く、効果も期待できます。まさに、ソーシャルビジネスのお手本のようなモデルです。
ただ、そのモデルの印象よりも、やはり矢島社長の想いや行動力の方が印象に残りました。(本も出されています)
目黒に直営店aeru meguroがオープンしていますので、仕事帰りによって帰りたいと思います。