スーパーのお惣菜コーナーのタイムセール、別名見切り品とも言います。惣菜はその日のうちに消費しないといけないはので、残すとロス(損失)が出ます。損失が出るくらいなら安くしてでも販売してしまおうというわけです。
定価で売れる見込みがないと判断するから「見切り品」です。
株式の場合は損切りと言います。買値を下回ってしまい、株価が戻りそうにないと判断したときに売るわけです。見切りにしても、損切にしてもそうですが、人間の心理状態としてはなかなか見切れません。いつかは売れるんじゃないか、いつかは戻るんじゃないかという期待があるからです。この期待があると見切る判断を遅らせます。そして、いつまでも手元に残って損をすることになります。
見切る基準がほしいところです。
見切る基準として、良いトレーニングになるのが農業です。なぜって、だってダメだったらいつまで粘ったところで芽がでないものは出ないのです。まさに植物だけに、芽が出ないことが分かります。
これみてください。小松菜なんですが、このまま待ってももう成長は期待できません。
春菊にいたっては、黒ずんでしまいました。3か月見守りましたが、もうそろそろ見切って他の作物を育てた方がいいです。これから春野菜を育てるために土も仕込んでおかなくてはいけません。そこで残念ですが、「えいや」と春菊をとってしまいます。畝から作物をとって、土を天地返しします。そして次の野菜づくりに備えます。何か、リセットされたような感じがします。
このリセットボタンを押すか押さないかは、じっと対象を見つめるしかありません。そして見つめ続けたうえで、やはりある瞬間見切るのです。それはこのままにするのか、それともやめるのか、両者の利益を天秤にかける他ありません。数値や数字で判断ができれば決めることは楽なのですが、やはりそれは状況を見て決めるしかありません。その状況というのはスーパーのように不特定多数の人では定点観測ができませんし、株価のような実態が目に見えないものでは状況がつかみにくい。農作物のように目に見えて、動かないものであれば状況はつかみやすいのです。なんでしょうか、愛情をもって対象を見守りながら、「ええい、やめた」とばっさりして、次のアクションに切り替える。このギアの切り替えと潔さが見切りには必要です。そして、見切りに至った原因をつかんでおき、次に活かします。農業はこのサイクルを身につけるには、最適です。