黒岩五郎という生き方。

北の国からの再放送を思わず見る。「北の国から巣立ち」。

あの菅原文太の「誠意って何だね?」という名セリフを生んだ回だ。

黒岩五郎という人、改めて魅力だと思った。生き方は決してうまくなく、どちらかというと不器用。そして口下手。

子どもへの愛情が空回りしてしまう。当事者の子どもであれば、「こんなことをされたら恥ずかしい」と思うことを素直にやってくる。たとえば、娘の蛍が就職する病院に鮭を贈ったり、そして息子の純が妊娠させた女性の親代わりのおじさん(これが菅原文太)の家に訪れかぼちゃを渡す。そんな五郎を見て、子どもは戸惑ったり、驚いたり、うっとおしがったりする。「やめてよ、とうさん」というお決まりのセリフを言わせる。本人たちにしてみれば困ったもんだが、なぜか観ている第三者は五郎を応援してしまう。

謝ったり、お願いしたりする際には、饒舌である必要はなく、たどたどしくても実直で朴訥であるほうがぐっと周囲の心をつかむことができることを五郎は証明する。

そして、五郎の魅力は弱弱しいだけでなく、頑固な面もある。一度言い出したら周りがなんと言おうと聞かない。丸太を売って石で家を建てると言い始めたり、温泉を自分で掘り当てるとやり始めたり、その周りの人が唖然とすることもまじめにコツコツと取り組む。そんな姿にも観る人はエールを送る。

そして五郎の魅力、何よりも生命力がある。

吹雪の中、倒れようが、なんとかマッチをこすって生きようとする。弱弱しさではなくしぶとさももちあわせているのが五郎の最大の魅力である。

時を経て見ると、五郎になぜ惹かれるかよくわかる。五郎から出ているのは父性であり、それは子どもにはいいところ見せようというものではなく、かっこ悪くても、みっともなくても、しぶとく生きていく、父親が子どもに見せたいけど見せれない姿を五郎はありありとさらしていく。五郎はそんな父親たちの思いを代弁、というか代演しているのだ。

http://www.princehotels.co.jp/newfurano/facility/contents/drama/

富良野のドラマ館では、五郎アイテムが手に入る。ニット帽、軍手、ジャンバーの3点セットがほしい。

gorouhouse

(実際、富良野で撮った五郎の家。本当にあることに感動したのを覚えています)

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