『私は誰?』の問いにこたえる「わたし」

私って誰なんだろ?すごく哲学でありながら、ややもすると認知症や記憶喪失と思われるような問いではありますが、実はこたえはあります。

私とは、自分が決めるものではなく、他者とのかかわりの中から決まるのです。つまり、他者がいなければ私という存在は成り立たないということです。

他者のかかわりの中で、私は決まります。そして、私は他者との関係性ごとにそれぞれ違う私になります。つまり親から見た私と、友人から見た私、先生から見た私は、同じ私でありながら役割が違うのです。役割なので、演じなければいけません。誰かに請われるから役割があるのです。結局のところいろんな役割を演じる私は、どこに役割以外の自分がいるのか?おそらく、それは自分一人の時に訪れることなのかもしれません。多様な役割、自分の存在を考えるという点ですばらしい本を見つけました。

わたし (かがくのとも傑作集―わくわくにんげん)」福音館書店、なんと作者は谷川俊太郎さん。

うちの子どもに読むと、頭から???が出ていましたが、他者との関係での自己があり、自己の役割の多様性については、子どもの頃に知っておいてもらいたいです。子どもは役割がたくさんある、“ごっご遊び”をするからです。ママゴトひとつとってみても、役割を理解していないと遊ぶことができません。お父さん役をすることは、幼児の自分を離れていることです。そして、多様な役割を演じることができるということは、多様な立場の人たちの気持ちを汲むことができるということです。

役割を演じるのが面倒であれば、誰ともかかわらない無人島にいけば役割はなくなります。でも、遠く離れたところであなたの帰りを待っている、気にかけている誰かがいる限り、人間は空間で一緒でなくても遠い空の下でもどこかで絶えず役割をつくっているのです。誰かがいるから自分がいる。誰かの期待にこたえるから役割(存在)が大きくなる。実はそんなことをあまり教えてもらう機会はないのです。この本を読みながら大人も一緒に私の役割を考えてみてはどうでしょうか?

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