「世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ」編:くさばよしみ/絵:中川 学ぶ(汐文社)
対象年齢 10歳~
久々に絵本を読んで、しびれました。電流が走りました。
この本はリオジャデネイロで開かれた国際会議の大統領のスピーチの内容です。その大統領とは、南米ウルグアイのムヒカ大統領です。実際のお話なので、YOUTUBEでスピーチの動画を見ることも可能です。そうすれば絵本を買わずともタダです。
ただ、ひとつ言いたいのが、
このスピーチは絵本で最初に見てほしい!
さすがに絵本だけあって、スピーチの言葉がうまくビジュアル化されています。金の亡者となっている人間の姿、ローンでがんじがらめにされた人間の行く末、またその反対に自然や動物、そして家族に囲まれた人間の笑顔など、絵本としても大変見ごたえがあります。
そして、絵本ということで実際のスピーチよりも平易な言葉になおされています。たとえば「政治的問題」を「生き方の問題」などに置き換えたりしているのですが、そのことで私たちに近い問題としてとらえることができるのです。言葉と絵を組み合わせることで、説得力が数倍にも増しています。
人間の幸せとは何か、そのこたえをこの清貧の大統領は自ら実行されています。経済の発展は人間に幸せをもたらすわけではない、そんなことをうすうすと分かっていながら、なかなか大きな流れに逆らえない、そんな人間の現状を見事に訴えています。
説得力ありますよね?
ただ、そんな人間が今まで常識と考えていた流れは、大きく変わろうとしています。それはこの日本においても、同じこと。
こんなことを嘆く先輩世代の人たちもいますが、若者たちは大量消費や欲深いことが、人間社会に何をもたらすのか本質的につかんでいるのかもしれません。だからこの本は、20代よりももっと前の若者に読んでもらいたい本です。今の時代だから出てきた本言えます。
(YOUTUBEも紹介はしますが、やはりその前に絵本を読んでほしい)