かこ先生の最近の作品です。思わず手に取ります。
「パピプペポーおんがくかい」作: かこ さとし 出版社: 偕成社
対象:5歳,6歳 発行日: 2014年01月28日
なんて言うんでしょう、すごく失礼なこと言いますが、人間年を重ねれば、いろんなことが面倒くさくなります。丁寧さがなくなり、おおざっぱになります。私の周りの老齢期に入った先輩方を見てもそのように感じます。
ただ、かこ先生については、これは当てはまりません。むしろ、逆です。
年を重ねるごとに描写が細かくなっていきます。
信じられません。もはや絵本作家の聖域に達したのでないでしょうか。今回は劇場をテーマにした作品。劇場ですからたくさんの人がいます。正確に言えば、人ではなく動物たちがいます。動物たちのコンサートが始まります。動物たちが演奏をして、歌をうたうのですが、絵本の文のほとんどが歌詞です。
これって、どうやって読み聞かせるんでしょうか?
楽譜がないので勝手にリズムをつけて読みましたが、これってかなり難しいです。仕方ありません、絵本の聖域かこさとし先生の作品です。ありがたくアドリブで歌をうたいます。さるがくおはやしではお囃子は♪
だんすがすんだ
たけやぶやけた
だいさんじ かんりがたりんか じんざいだ
など、うえから読んでも下から読んでも同じ文章です。
実に細かい
きつねしゃみせんはすべて き・つ・ねから始まります。
きょうは よいひよ あおぞらよ
つちをたがやし たねをまこ
ねぼうけまなこを ちゃんとしな
もう一度言います。どうやって歌うのでしょうか?
正直に言いますと、うちの子ども、このあたりでそろそろ飽きてきて勝手にページをめくりはじめます。悪いのは作品ではなく、私の読み方が下手だからです。そしてライオン楽長率いる管弦楽団と猪鹿合唱団の演奏と歌から、いよいよコンサートも終盤です。観客の手拍子が絵本から伝わってきます。そして「このほしのいきもののうた」を聴いて動物たちは地球に生きている仲間なんだ!とみんなが気づいたときには、見事に会場が一体感に包まれ、割れんばかりの拍手が聞こえてきます。絵本なのに。
なんと言いましょうか。絵本というのは決してうまい絵本がよい本ではありません。読み手に想像を抱かせる、ストーリーのなかに引きこむ力も持つ本が良い本なのではないでしょうか。
うちの子どもは途中でどこかへ行ってしまいましたが。
大人の私がこの絵本を固唾を飲んで読んでいました。
確かにうちの子どもをコンサートに連れてっても1時間と持たないでしょう。だから、子どもの反応はまっとうな反応なのです。これも、ある意味この作品が正直な証拠です。